STORY:金谷匡高さん(大学院生) | ブリティッシュ・カウンシル日本創立60周年
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Hiroshi Yoda

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英国で出会った「建築」

はじめてイギリスを訪れたのは高校生の時です。一週間くらいの一人旅で、田舎町や農村を中心にめぐりました。印象的だったのは、コッツウォルズ地方のボートン・オン・ザ・ウォーター。石造りの古い建物と街並みの美しさに惹かれました。歴史的な建造物や自然を保護する「ナショナル・トラスト」について知ったのもこのときです。ほかにもバースやストーンヘンジなど、さまざまな世界遺産に触れることができたのも収穫でした。それから、旅行中に売りに出されている家をいくつか見かけたのですが、築200年の古い家にびっくりするほど高額な値段が付いてるんですね。それを見たときに、これは日本では考えられないことだなと思いました。普通なら中古物件として安くなるのに、イギリスでは逆に高くなる。「古くなればなるほど価値が増していく」という考え方があることに驚きました。その後、僕は大学で建築を専攻することになるのですが、このときの体験がすべての始まりだと思っています。

伝統の中にモダンが垣間見える

大学に入ってから再びイギリスへ。当時は建築学部の学生だったので、こんどは現代建築を見てやろうとロンドンの中心街を歩きまわりました。そこで気づいたのが「古いものを活かして新しいものをつくる」という発想です。例えば大英博物館のグレート・コート。もともとあった建造物の一部を残し、それを巨大なガラスのドームで覆うという大胆な改装で話題になりました。実際に目にしてみると、歴史的な風格を漂わせながらも、やはり現代の建築としてきちんと機能しているんですね。もちろん、ロンドンにはモダンで斬新な建物もあるんですが、古いものに少しだけ手を加えたデザインが思った以上に多かった。伝統の向こうにモダンが垣間見えるという感覚は、イギリスならではのものだと思います。

ブリティッシュ・カウンシルの英会話スクールへ

建築について研究していると、資料の微妙なニュアンスを海外の人に伝えることが難しかったりするんですね。英語の読み書きはある程度できるんですけど、発信するのは苦手だなと常々感じていて。それで英語をあらためて勉強し直そうと思い立ったんです。ブリティッシュ・カウンシルの英会話スクールを選んだ理由は、ひとつは大学に近かったから。飯田橋本校なら歩いて数分で通うことができます。ふたつめの理由は、英国の公的な国際文化交流機関であるということ。しっかりとしたレッスンが受けられるだろうという信頼感がありましたね。僕の学んだクラスは、高校生から社会人まで、年齢も仕事も経歴もバラエティに富んだ生徒が通っていました。サッカー少年、大学の先輩、エンジニア、美術館員、コピーライター、バレリーナの卵、ビアノの先生、などなど。ふだんの生活では知りあえない人たちと、ひとつのクラスで一緒に学ぶわけです。授業も先生からの一方的なものではなく、テーマに沿って生徒同士で会話を交わすスタイルだったので、自然とみんなとも打ち解けることができました。

対話と交流が生まれるレッスン

英会話スクールの教え方は、つねに発言を求められるというか、英語でコミュニケーションすることを前提としている授業なんだな、と感じました。「何かしゃべらないと」という気持ちにさせられて、いつの間にか英語でのやりとりが生まれている。いきなり「英語で話せ」と言われても、少し躊躇しちゃうと思うんですけど、先生も気さくだし、クラスメイトも同じくらいの英語力なので、気兼ねなくしゃべれるんですね。たとえ間違ったとしても、先生がきちんと指摘してくれます。むしろ間違い自体がひとつの教材として活かされているんです。なので、授業を重ねるごとに「英語になじんでいく」という感覚がありました。それから、通っていたのが遅い時間のクラスだったので、授業後にクラスのみんなと食事に行くのも楽しかったですね。そのうち先生も参加するようになって。もちろん先生がいるときは、みんな英語で話さないといけないんですが、先生も授業のときよりは英語に厳しくない(笑)。ジャズが好きな先生だったら、音楽の話で盛り上がったり、授業とはまた違った側面から英語と親しむことのできる貴重な場だったと思います。

金谷匡高にとって「UK」とは?

「新しくもあり 古くもあり 遠いようでいて近い」という感じですね。新しい発見もあるし、古い記憶を大事に残すようなところもある。それに、イギリスも日本と同じように島国じゃないですか。だから意外と身近というか、親近感を抱くことのできる部分が多いと思います。例えば、英会話スクールの先生も最初のうちはシャイで、いきなり距離を縮めてきたりはしない。授業を通じて徐々に心を通わせていく感じなんですね。そのあたりのメンタリティは日本人と近しいような気がします。僕自身の今後の目標としては、まずは日本の建築や都市の歴史を英語でうまく説明できるようになりたいですね。そして、建築や歴史を学んだ目で、あらためてイギリスを見つめ直してみたい。今は都市の歴史について研究しているので、これからは海外の情報を集めたり、文献も英語を活かして調べていきたいと思っています。

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Profile: 金谷匡高(かなや・まさたか)

法政大学大学院博士課程在学中。高校時代に訪れた英国でさまざまな建築物や町を目にしたことをきっかけに建築に興味を持つ。高校卒業後、法政大学建築学科に入学。学部在学中は建築や都市の保存・再生に関心を持ち、大学院進学後は「江戸東京たてもの園」で1年間インターンシップを行う。大学院ではアジアの都市史・建築史を専門とする歴史・意匠研究室に所属。おもに日本の近代建築や都市の歴史について研究する。研究室では海外の都市調査も実施しているため、アジアを中心としたフィールドワークにも参加。2012年、1年間にわたりブリティッシュ・カウンシルの英会話スクールに通い英語力の向上をめざした。

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