By 英語教育支援チーム

2021年 05月 19日 12:11

こんにちは、英語教育支援チームのチヒロです。
ここでは、English richな授業を実現するための条件を全3回でご紹介していきたいと思います。今回は第一弾です!

“English rich(イングリッシュ・リッチ)”な授業とは、生徒が英語を聞いたり使ったりする機会が多くある授業のことです。教師だけでなく生徒も英語を豊か(rich)に使う授業を推進しています。

新学習指導要領で高校に続いて中学校でも、「授業は英語で行うことが基本」となり、これを“All English(オール・イングリッシュ)”ということがあります。 “All English”は「100%英語」を意味しており、すべて英語ですることが目的であるかのような誤解が一部生じています。しかし、ブリティッシュ・カウンシルでは、 “All English” ではなく、“English rich”という表現をしています。

English Richな授業が重視するもの

English Richな授業では、教師が使う英語の質や学習者への動機づけを重視し、効果が高い指導技術やアプローチを推奨しています。 

教師が英語を使うのは、学習者が英語を使う環境を整えるためです。生徒に手本を示し、生徒が英語を使いたくなるような場面、練習する機会を多く提供することです。

例えば、教師と生徒間のラポート(信頼関係)。間違いを恐れずどんどんと使ってみることはとても大事ですが、未知の言語を使うのは不安なもの。だからこそ、教師と生徒の間に十分なラポートがあることや、生徒が互いを認め合える雰囲気は大切です。このことを土台とし、English richな授業の「条件」を順番にご紹介していきます。

条件その1:日本語を効果的に使用する

“All English”という言葉が指すように、教師がすべて英語で授業を行うことが重要だと理解されると様々な誤解が生じます。最近の世界の英語教育の流れは、「母語を効果的に活用する」ことを重視しています。つまり、「効果的だ」と判断される場合には、教師も生徒も日本語(母語)を使用する方がよい、ということです。

しかしこのように言うと、「じゃあ、生徒が理解できるまで日本語が中心になるのはしかたない」という声があったりします。日本では、生徒は授業以外に英語に触れる機会はあまりありません。だからこそ、教師は日本語を「不必要に」使用していないかを常に点検したいものです。生徒が日本語で答えた場合でも、それを英語で言い換えるなどして、教師が英語を使い続けることは大変重要です。

この原則に沿った上で、学習者の言語レベルによっては、日本語を使うことが効果的な場合があります。

● 教師が日本語を使用する場面としては
例えば、授業や言語活動のねらいを確認する時、単語やフレーズなどで特に抽象的な意味合いを理解する時などです。「なぜその文法構造が使われているか」などを説明する時も日本語の方がよいでしょう。

● 生徒が日本語を使用する場面としては
読んだ内容の理解を確認する時、考えや思いをまとめる時、抽象的な内容を討議する時などがあげられます。先行研究では、(英語よりも)母語を使って内容を確認する方が生徒の理解が深まる、とされています。

つまり、英語と日本語の使う部分を適切に判断することが必要です。英語でのコミュニケーション力の向上のためには、英語を使いながら学ぶことが非常に有効であることには変わりありません。そのため、「いかなる時も英語」と「日本語が効果的」とのバランスをとることが大切です。

次回は、教師の英語の「質」について掲載予定です。どうぞお楽しみに!

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