嶋津幸樹先生の「実践的なIELTS対策:英語4技能向上のヒント」第2回
日本国内では国産の英語試験が主流ですが、一歩世界に足を踏み入れると、どこに行っても求められるのがIELTS。現在、世界の140ヵ国以上、12,000以上の機関、特に世界大学ラキングの上位校の95%以上がIELTSを採用しています。2023年には、世界で400万人以上がIELTSを受験しました。
今回のブログでは、英語の4技能のなかでもライティングの攻略法に焦点を当てて、IELTS受験者と指導者が押さえるべきポイントについて紹介します。
・IELTS受験者に向けて
IELTSの学習を始めると、目先の試験対策に没頭してしまいがちです。これはIELTS受験者にとって世界共通の現象なのですが、重要なのは目先の試験ではなく、本質的な学びを繰り返すことです。できるだけ早期にIELTSに触れて、世界基準を体感し、IELTSの先にある世界を意識することが大切だと考えています。
・IELTS指導者に向けて
IELTSの指導において、私が最も苦労しているのがスピーキングとライティングのフィードバック。指導者は「IELTSの出題形式」と一般公開されている「IELTSスピーキング・ライティングの評価基準」を最低限知っておくべきです。過去の出題や攻略法に惑わされず、意味のあるやりとりを通して、学習者が着実にインプットとアウトプットを繰り返してスキルアップできる環境づくりに注力しましょう。
・IELTSライティングの攻略法
ライティングは、IELTS4技能のなかで最も過酷なセクションです。高得点を狙うには、高難度の語彙を覚えることよりも、基本英単語を適材適所で使えるようになることのほうが重要です。活用すべきは、ビクトリア大学ウェリントン校のAveril Coxheadによる「アカデミックワードリスト」。アカデミックライティングで使える語彙リストがレベル別に掲載されており、全IELTS受験者必見です。
IELTSライティングでは、客観性がポイント。主観的な(subjective)感想や根拠なしの主張ではなく、客観的な(objective)事実や法則を提示し、論理的な(logical)文章を書くことが求められます。Task 1 では、図やデータを自分の意見や感想を含めず忠実に描写する能力、Task 2では、誰もがうなずける一般文(General Statement)からスタートし、客観的な情報やデータを用いて主張し、最後に読み手が納得できる結論文(Concluding Sentence)に導く能力が試されます。
IELTSは、小手先のテクニックでは歯が立たず、ときにはエベレストのように高い壁のように感じられるかもしれません。しかし、その高い壁を乗り超えた先には、新しいアカデミックな英語の世界が広がっているはずです。