嶋津幸樹先生の「実践的なIELTS対策:英語4技能向上のヒント」
前回に引き続きIELTS Writing Tipsをご紹介します。第3回目の今回は、IELTSライティングで高得点を狙うために必要な要素について、さまざまなテクニックをお伝えしていきます。
・ 構成(Organisation):導入・本論・結論の一貫性
IELTSライティング試験では、評価基準に「一貫性とまとまり(Coherence and Cohesion)」の項目があり、エッセー全体を通して論理的な展開が求められます。日本語の「起承転結」と同じく、アカデミックライティングの基本構成は、導入(Introduction)、本論(Body)、結論(Conclusion)。この構成を意識することが大切。
さらに、IELTSのライティング対策として、パラグラフ内での前後関係の繋がりを作る接続表現であるディスコースマーカー(discourse markers)を用いながら、Task 1 では20分以内に150語以上、Task 2 では40分以内に250語以上で書くことを繰り返し練習をしましょう。
・パラフレーズ(Paraphrasing):多様な表現への言い換え
同じことを伝えるために別の表現に置き換える「パラフレーズ」は、アカデミックライティングにおける非常に重要なテクニックです。例えば、farmland(農地)を類義表現のagricultural land(農業土地)に、too much fishing(釣りすぎ)を overfishing(乱獲)に言い換えることを指します。
例えば、IELTSライティングのTask1では、「増加」を表現する場合、動詞形のincrease dramatically(急激に増加する)を、名詞形のa dramatic increase(劇的な増加)に言い換えることができます。これをnominalization(名詞化)と呼び、ほかにも、boost(急激な増加)という表現にも言い換えられます。IELTSのライティングで高得点を狙うなら、このパラフレーズは必須のテクニック。多種多様な表現に言い換えができるよう練習しましょう。
・言語使用領域(Register):社会言語学の言語変種
つぎに、言語使用領域(Register)について。言語は場所や状況、話す相手や読み手によって変化するものであり、社会的な場面や置かれた状況に合わせた適切な言葉選びが求められます。
アカデミックライティングでは、口語表現(colloquial expression)やスラング(slang)、決まり文句(cliché)やことわざ(proverb)、婉曲表現(euphemism)の使用は厳禁とされ、誇張や感情的な言葉も好まれません。性差別表現を避け、特定のグループに不快感を与えないポリティカル・コレクトネス(political correctness)を意識した、適切な言葉選びを心がけましょう。
最後に、IELTSに限らず私の人生において最も重要だと感じていること。それは、シンプルであること(Simplicity)です。冗長な表現や小手先のテクニックに依存するのではなく、何事においてもシンプルにまとめること、伝えることが重要です。
IELTSのライティングにおいても難易度が高い表現を用いたり、身の丈に合っていないテクニカルな表現を用いたりするのではなく、シンプルさを徹することが成功のカギです。人生においてもアカデミックライティングにおいても共通するのは「シンプルであること」です。