ブログ【英語教育のプロフェッショナルの声】
IELTSの試験では、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの英語運用能力を総合的に評価します。これら英語4技能のスコアを伸ばすためには、どのように学習を進めればよいのでしょうか。英語教育のプロフェッショナルであり、ブリティッシュ・カウンシル公認IELTS エキスパートとしてもご活躍中の正木伶弥先生と嶋津幸樹先生が、試験対策に役立つ情報を紹介します。
今回は、正木先生によるブログ「IELTSでかなえる英国留学」の第3回(最終回)をお届けします。正木先生は、英国のパブリックスクールなどを経てロンドン大学に進学、IELTSをはじめさまざまな試験対策指導を手掛けておられます。このブログでは、正木先生が英国留学を通じて得た知識や英国の文化に触れて感じたことなど、実体験をふまえたリアルなトピックもお楽しみいただけます。
正木伶弥先生の「IELTSでかなえる英国留学」第3回
IELTSスピーキングの評価項目のうち、「流暢さ」については前回のブログで触れた。
今回は、そのほかの3つのポイントとして「文法」「発音」「単語」について見ていきたい。
1. 文法
文法において、重要なのは正確性に加えて、「幅」の広がりがあること。高得点を狙うためには、様々な文法を織り交ぜて書く必要がある。「日本人は文法が得意!」とよく聞くが、多くのIELTS受験者が、正しい文法を選択することに苦戦している。また、「次の文を〇〇に書き換えろ」という指示のある状態に慣れているためか、最も基礎的な文法でも不正確な点が多く見られる。
2. 発音
ネイティブ発音でなければ高得点がでないわけではないが、英語圏出身者が理解に戸惑うような発音は減点対象。これを防ぐには、「音節」に対する意識が大切。例えば、STREETは1音節で強く発音する部分はないが、「リ」を強調してカタカナ通りに発音すると5音節(本来の5倍の音の塊)になる。こうした発音のズレがあると、ネイティブには聞き取りにくく、下手すれば理解されないこともある。自分の発音がネイティブにとってどの程度聞き取り易いのかを確認するには、スマホやPCの音声入力を使ってみるとよい。現在の音声認識は驚くほど高精度なので、音声入力がうまくいかないなら、問題は学習者側にあると考えられる。
3. 単語
IELTSのスピーキングでは、学術的な高難易度の単語だけでなく、日常生活に密着した表現も重要だ。そうした表現を強化するには、意識的な勉強よりも、娯楽や身近な物を通して、リアルで日常的な表現に多く触れることをおすすめしたい。
最後に、IELTSの受験に向けて、可能な限りの準備をしてきたのであれば、本番直前に詰め込むべきではない。当日の創造力に支障が出ると痛手となる。IELTSの試験は、暗記力を問うているわけではない。唯一やるべきなのは、緊張を和らげること。緊張は大きく能力を下げる原因となる。多くのスポーツ選手が、極度の緊張下で行うルーティーンを決めているのはそのためだ。五郎丸ポーズで受験するのは無理だが、試験会場が生活圏内なら、立ち寄るカフェや着る服を決めておくなど、受験日を緊張なく過ごせるよう準備をしておくとよい。
多くの受験者にとって、その後の人生を左右すると言っても過言でないIELTS試験。
ぜひ自身の持てるベストを発揮してほしい。