9月2日(木)、ブリティッシュ・カウンシル英会話スクールは、「BBCワールドニュース」のプレゼンターとしてワールドワイドに活躍する大井真理子氏をお迎えし、英語学習者向けのオンライン・トークイベントを開催しました。ニュースが出来るまでのプロセスから、国際ニュース報道の最前線で日本人ジャーナリストとして自身の経験をどのように生かしているのか、また学生時代の英語学習方法まで、たっぷり聞きました。
日本人キャスターならではの視点を生かした取材・報道
大井氏は、大学時にジャーナリズム修学のためオーストラリアに留学し、在籍中から番組制作を経験。2006年にBBCワールドニュースに入局後、レポーターを担当したのち、現在「アジアビジネスレポート」のプレゼンターとして、経済や時事ニュース、自然災害など幅広い分野のニュースを届けています。日本における専業主婦の仕事復帰や歴史教育問題、ウーマノミクスの検証など、独自の視点をいかした取材報道、近年では社会の多様性を反映させた番組作りを目指すプロジェクト「50:50 Project」にも取り組んでいます。
――BBCで国際ニュースを報じるうえで意識していること、国際的なメディアで日本人キャスターとして意識されていることは何ですか?
大井氏:BBCの視聴者は世界中にいるため、例えば日本のニュースを伝えるときには、日本に詳しくない方にどうやって分かりやすく伝えるか、逆に精通している日本人の方には“そんなの知っているよ”と思われないようにすること、両方を意識します。また、父親のお小遣い制度や婿養子制度など、日本人の自分にとっては当たり前のことでも海外の方からすると面白く思われることも多く、会話の中から特集が生まれることもあるので、毎日の学びになっています」
――BBCは、日本のメディアよりも早く日本に関するニュースを発信することがありますが、なぜこれが可能なのか、取材体制について教えてください。
大井氏:BBCは世界中に数千人の記者がおり、速報ニュースの際にすぐ現場に行けるよう常にスタンバイしています。ニュース発生時には、必ず2つ以上のソースからのレポートを検証して、速報という形で報道します。また、現地の駐在レポーターは現場や自宅からの中継や、移動中に携帯電話を使って中継することも。信頼を置く現場レポーターからの報道をすぐに出すため、スピード感があるのだと思います。
――フェイクニュースやコンスピラシーを主張した内容のニュースが氾濫する中で、BBCでは正しい情報を広めるためにどのような工夫をしていますか?
大井氏:BBCは基本的に公平・中立な報道に根差しているので、例えば、選挙報道では与党と野党の声を秒単位で同じ時間、放送するなど気を配ります。近年、Misinformationが問題になっており、例えばClimate Change(地球温暖化は起きていないという意見)やワクチン反対に関する情報などが増えていますが、環境問題については一定の報道ルールを設けており、ワクチンに対する不安の声を紹介するときにはワクチンの効果を同時に説明するなど、ニュースルームで議論し決めます。リアリティ・チェックという特別な部署もあり、例えばウーマノミクスの成功に関する発言についても、実際の女性の労働形態や賃金、待機児童数の変化を調べて果たしてそれが本当なのか検証しました。