アート、クリエイティブ産業とテクノロジー、領域を超えた共同が、これからの社会にどのような価値を生み出すのでしょうか?
2017年に英国政府が発表した政策文書「Culture is Digital(文化はデジタル)」では、文化芸術、クリエイティブ産業、テクノロジー分野の連携を促進させることによって、新たな文化的体験を生み出し、文化芸術分野およびクリエイティブ産業を強固なものとし、テクノロジーの持つ可能性が開花されることが示されています。同年、アーツカウンシル・イングランドとデジタル・カタパルトはCreative XRプログラムを始動し、アーティストやアート団体が、VRやARなどのイマーシブ・テクノロジーを活用して新たな体験を生み出すための支援を行っているほか、英国ではここ数年、アートとテクノロジーの融合を促進するさまざまな取り組みが行われています。
今回、CreativeXRプログラムの担当者や、アーティスト、研究機関、企業と連携してプロジェクトを展開している英国のクリエイティブ・プロデューサーに加え、若林恵氏(黒鳥社ディレクター)をスピーカーに迎え、齋藤精一氏(パノラマティクス主宰)をファシリテーターにオンライン・フォーラムを開催します。
アートとテクノロジーの連携を促進する仕組みづくり、観客にもたらされる新たな体験、都市へのインパクトなど、日英の実践をもとに幅広く意見交換を行います。
開催概要
日時:2021年3月3日(水)18:00-19:30
主催:ブリティッシュ・カウンシル
参加費:無料(日英同時通訳付き)
使用プラットフォーム:Zoom(事前に参加URLをお送りします)
お申し込み方法:専用申し込みフォームよりお申し込みください。
お申し込み期限:2021年3月3日(水)16:00
スピーカー
ジェシカ・ドリスコル (デジタル・カタパルト イマーシブ・テクノロジー部門責任者)
イリーニ・パパディミトリウ (フューチャー・エブリシング クリエイティブ・ディレクター)
ダン・タッカー(イマーシブ・キュレーター&エグゼクティブプロデューサー)
齋藤 精一(パノラマティクス(旧ライゾマティクス・アーキテクチャー)主宰)
若林 恵(黒鳥社 コンテンツディレクター)
(敬称略、アルファベット順)
ファシリテーター:齋藤 精一氏コメント
日本ではこれからの文化政策の在り方が議論される中で、あまりメディア芸術や表現などの方法論の話まで追求されていないような気がします。例えば、民間企業さんとの共同研究・開発や、英国を始めとする海外の同セクターとの協業など、まだまだできていないことがたくさんあります。今回のディスカッションでは様々なメソッドや試みをすでにされている英国のクリエイティブセクターの方々をスピーカーにお迎えして国外からみた日本の可能性や英国との協業の可能性等のお話ができればと思います。
スピーカー・プロフィール
- ジェシカ・ドリスコル (デジタル・カタパルト イマーシブ・テクノロジー部門責任者)
イマーシブ・テクノロジー分野のリーダーであり、オーディエンスに対する専門的な知見と、新たな放送技術の研究開発の経験を持つ。過去に、BBCリサーチ&デベロップメント、スタートアップ企業、NGOなどに勤務。コーナー・ストーンでは、子ども向けのサービスのためのVRトレーニングを開発した。ビジネス開発やコンテンツ制作に至るまで、イマーシブ・テクノロジーの分野での幅広い経験をもとに、現在、デジタル・カタパルトにおいて、クリエイティブ産業支援事業を先導している。 - イリーニ・パパディミトリウ (フューチャー・エブリシング クリエイティブ・ディレクター)
マンチェスターのアート団体でありイノベーションラボである「フューチャー・エブリシング」のクリエイティブディレクターを務める。前職は、ロンドンのヴィクトリア&アルバートミュージアムでデジタル・プログラム部門のマネージャー、ウォーターマンズ・アートセンターでニューメディア・アート開発部門の責任者を務めた。Mozilla FestivalのArts & Culture experienceの共同キュレーターを務めており、メーカー文化についての批判的な集まりであるMaker Assemblyの共同創設者でもある。インペリアル・ウォー・ミュージアムのアソシエイト、マンチェスター・メトロポリタン大学のSchool of Digital Artsのインダストリー・アドバイザリー・グループ・メンバーなどを務める。アルスエレクトロニカ賞、D&AD賞、ルーメン賞、Vertigo STARTS、ACM Siggraphの審査員。 - ダン・タッカー(イマーシブ・キュレーター&エグゼクティブプロデューサー)
放送、デジタル・エージェンシー、スタートアップ企業、国際的なアーティストなどとの仕事において25年以上の経験を持つ、受賞歴のあるデジタル・プロデューサー兼キュレーター。テレビのドキュメンタリーからバーチャルリアリティまで、映像産業において幅広く活動している。
シェフィールド国際ドキュメンタリーフェスティバルの拡張現実(AR)部門のキュレーターとして、デジタルアートとドキュメンタリーの展示を手がけた。ガーディアン、グリーンピース、BBC、カナダ国立フィルムボードの画期的なイマーシブ・インタラクティブ作品を展示。最近では、BBCアーツとアーツカウンシル・イングランドのニュー・クリエイティヴズのコミッショニング・エクゼクティブ、ヨーク・メディアーレのパートナーシップ部門の責任者、BFIの研究員、CreativeXRプロジェクト「Dazzle 2021」のプロデューサーを務めている。 - 齋藤 精一(パノラマティクス(旧ライゾマティクス・アーキテクチャー)主宰)
建築デザインをコロンビア大学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。Omnicom Group傘下のArnell Groupにてクリエイティブ職に携わり、2003年の越後妻有アートトリエンナーレでのアーティスト選出を機に帰国。フリーランスのクリエイターとして活躍後、2006年株式会社ライゾマティクス(現:株式会社アブストラクトエンジン)設立、2016年よりRhizomatiks Architectureを主宰。2020年組織変更によりRhizomatiks Architectureは、Panoramatiksと改め、俯瞰的な視点でこれまで繋がらなかった領域を横断し組織や人を繋ぎ、仕組みづくりから考えつくるチームを立ち上げる。現在では行政や企業などの企画や実装アドバイザーも数多く行う。2018-2020年グッドデザイン賞審査委員副委員長。2020年ドバイ万博 日本館クリエイティブ・アドバイザー。2025年大阪・関西万博People’s Living Labクリエイター。 - 若林 恵(黒鳥社 コンテンツディレクター)
平凡社『月刊太陽』編集部を経て2000年にフリー編集者として独立。以後、雑誌、書籍、展覧会の図録などの編集を多数手がける。音楽ジャーナリストとしても活動。2012年に『WIRED』日本版編集長就任、2017年退任。2018年、黒鳥社設立。著書『さよなら未来』(岩波書店・2018年4月刊行)、責任編集『次世代ガバメント 小さくて大きい政府のつくり方』、最新刊『週刊だえん問答 コロナの迷宮』。「こんにちは未来」「〈働くこと〉の人類学」「blkswn jukebox」「音読ブラックスワン」などのポッドキャストの企画制作でも知られる。