IELTS奨学金2013受賞者
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Kenichi Aikawa

英国大使館で授賞式開催

2013年8月1日

今年度で3回目の募集となった「IELTS奨学金2013」の受給者9名が決定しました。

本奨学金は、UK奨学金(4名)、北米奨学金(5名)の2種別設置され、それぞれ3,000ポンドと1年間有効なロンドン-成田間のエコノミークラス往復チケット、6,000USドルが支給されます。選考は、IELTS(アイエルツ)のスコアだけでなく、ご本人が何を目指して、留学先でどのような事を勉強されたいのか、また留学の経験を社会へ還元するビジョンをもっているかどうかが重視されます。

<過去最高の応募数>
今年度は過去最高の319の応募(UK198名、 北米121名)があり、第一次の書類選考、第二次の面接選考を経て、下記9名の方が選ばれました。

 氏名(敬称略)  留学先  専攻

UK奨学金

井上佳苗   マンチェスター大学 Exchange Student All-year
角岡正嗣  インペリアル・カレッジ・ロンドン MSc in Transport
髙橋ひかる  エディンバラ大学 Visiting Student in the College of Science and Engineering
渡井悠貴  オックスフォード大学 Diploma in British and European Studies

北米奨学金

髙橋謙一   トロント大学 Arts & Science
奥谷明日香  メディスンハット・カレッジ General Studies
西條 柚   カリフォルニア大学バークレー校 IIS-ISP Program
宇佐美奈央 オハイオ州立大学 Human Development and Family Science
副島智大  マサチューセッツ工科大学 Undergraduate (Chemistry)

 

<授賞式を英国大使館で開催>
その授賞式が、去る7月29日、駐日英国大使館で開催され、受給者およびそのご家族が招待されました。

式は、IELTSを日本で共同運営する日本英語検定協会の奥城 泰理事のご挨拶から始まりました。
「IELTSの日本での受験者数は2万人を超えました。今回はさらに多くの応募をいただき、成績だけでなく、人柄を含めて選考させていただきました。海外でも日本人のアイデンティティ、文化を忘れず、将来の無限の可能性を引き出していただきたい」とお祝いの言葉を送りました。

<大きなビジョンを持って留学される奨学生の皆さん>
その後、9人の奨学生が順に、英語で留学にかける夢についてスピーチされました。

井上さんは将来外交官になり、海外の国々と日本をつなぐことを目標にしています。「実際にさまざまな人種や宗教の人たちと机をならべて、移民問題などを研究できる英国の大学での環境は、将来の目標へ近づく大きな一歩になる」と語っていました。

角岡さんはアフリカの道路建設事業を行った経験から、「より持続可能で、現地の資材と人材で整備できる技術と計画の必要性を実感した」。英国での研究のために、休職することを決意された角岡さんにとって、奨学金は大きな励みになったそうです。

高橋ひかるさんは、「昨年福島の子供たちの書いた詩を訳し、翻訳には人の気持ちを理解する必要がある」と認識。「大きなストレスを与えるような事象が、どう自己形成に影響を与えるか勉強したい」と、日本の専攻とは異なる心理学・生物学を学ばれるそうです。

富士登山の途中で受賞の第一報を聞いたという渡井さん。「政治学者として雇用率を上げていくことを目指している。英国の政治学は世界最高レベル。本奨学金受賞が、留学先で優秀な成績を収めることができるという自信につながった」とスピーチ。

高橋謙一さんは、経済政策の専門家として、海外との貿易交渉の場で活躍することを目指しています。「より優れた交渉人になるために、違う言語・文化背景を持つ人たちとのコミュニケーション力を伸ばす事を目指す」と語っていました。

マイノリティのパブリックサービスについてカナダで学ぶ予定の奥谷さんの抱負は、「グローバル化および外国人居住者増加が進む中で、(自分の出身地の)神戸が多様な人材が活躍できるようにパブリックシステムを構築することに貢献していきたい」。

子供の頃からコメディアンのマネージャーになりたいと思っていたという西條さんは、「アメリカでマスメディアについて勉強し、日本のお笑いの世界への洞察を得たい。帰国したらお笑い業界に変革をもたらしたい」と意気込みを語ってくれました。

宇佐美さんの夢は、子供たちのための図書館サービスを立ち上げること。今回の留学を「目標に向かって一歩近づく」ものと位置付け、オハイオ州立大学で家族関係について学び、図書館が子供にどう影響するか学ばれるそうです。

副島さんは、高校生の時に、自分と同じように科学が好きな海外の学生と出会い、世界中の学生と交流することは非常に大切だと思ったそうです。「科学者は今の状況に役に立っていないと言われることが多いが、社会に役立つ科学を追及していきたい」とコメント。

 <臨時代理大使が急きょ激励に>
受賞者のスピーチの後には、ジュリア・ロングボトム駐日英国公使が、お祝いの言葉を送ってくださいました。実は、公使のご参加は予定されていなかったのですが、忙しい公務の合間を縫って、急きょ臨時代理大使の立場で駆けつけてくださいました。

ロングボトム公使は「皆さんのスピーチはインスピレーションに富んでいて、大変感銘を受けました。IELTSを通して応募いただき、感謝しています。今後は、海外で学ぶことの素晴らしさを伝える大使になっていただきたい」と激励されました。

 <懇親会で受賞者同志で交流深める>
授賞式の後は懇親会となりました。受賞者同志、登壇者と交流を深められただけでなく、昨年度の受給者3名も参加されていたため、今年度の受賞者は情報交換したり、アドバイスなどを聞かれていました。さらに、報道関係者からインタビューもありました。

式の最後はブリティッシュ・カウンシル駐日代表のジェフ・ストリータ―が挨拶。「真の国際的な試験ともいえるIELTSを通して、国際的な勉学の機会に触れられることに、お祝いを申し上げます。今回は特に優秀な方に多く応募いただき、選考は大変難しいものでした。今後はIELTSファミリーとして、IELTSを盛り上げていただきたい」と締めくくりました。