2016年 07月 21日 (木曜日)

【お知らせ】

2016年リオ五輪文化プログラムに日本のアーティストが参加
―ホームレスとアートをつなぐ活動、ロンドンからリオ、そして東京へ―

音楽を通してホームレスを支援する英国のアート団体「ストリートワイズ・オペラ(Streetwise Opera)」は、リオデジャネイロ2016オリンピック・パラリンピック競技大会の公式文化プログラム、「セレブラ」の一環として、ホームレスとアートをテーマにした国際交流事業「Uma So Voz(英語名With One Voice)」を2016年7月19日から23日までリオデジャネイロで実施します。英国の公的な国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシルは、本事業の実施に関し、他の団体とともに協働し協力しています。

本事業には、日本、英国、オーストラリア、アメリカ、ポルトガルから、18名のアート関係者、政策関係者、研究者、ホームレスの方々が参加。日本からは大阪・釜ヶ崎を拠点とするNPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)の代表で詩人の上田假奈代氏と、東京を拠点とするダンスグループ「ソケリッサ!」から、ダンサーのアオキ裕キ氏とメンバー2名の計4名が参加します。

ストリートワイズ・オペラは、2012年ロンドンオリンピック・パラリンピック競技大会の際に、大規模な文化プログラム「ロンドン2012フェスティバル」の一環として、ロイヤル・オペラ・ハウスで英国各地のホームレス総勢300名が参加した作品を上演し、大会史上はじめて、ホームレスの人々にスポットライトが当たったプログラムとして大きな注目を集めました。ロンドン五輪でのレガシーをリオでも継承すべく、ストリートワイズ・オペラは2013年以降、ブラジルの政策関係者やアート団体、アーティストとの交流プログラムを展開し、今回のリオ五輪文化プログラムでの国際交流事業「Uma So Voz」に発展しました。

本事業では期間中リオデジャネイロのホームレスの方を対象としたワークショップや、ブラジルや世界各国におけるアートとホームレスの状況についてのプレゼンテーションを行います。プログラム最終日の7月23日には1週間の集大成として、リオデジャネイロのホームレスによる演劇作品や100名を超える合唱隊によるパフォーマンス、ソケリッサ!によるダンス作品などが披露されるほか、上田假奈代氏による現地のホームレスの方々を対象にした詩のワークショップの成果も会場で展示される予定です。また2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、アートとホームレスをテーマに、ロンドン、リオから東京へとバトンをつなぐパフォーマンスも行われます。

2020年の東京大会においても文化プログラムの実施に向けて国や地方自治体、文化セクターにおいて気運が高まっている中、あらゆる人々が芸術文化に親しめる環境を整備し社会的弱者の方々に向けたプログラムに力を入れていこうとする動きも広まっています。ストリートワイズ・オペラは過去2009年、2014年とブリティッシュ・カウンシルの招へいで来日し、大阪・釜ヶ崎や横浜・寿町などで音楽ワークショップを実施したほか今年後半にも来日し2020年に向けて日本におけるホームレスを取り巻く活動や文化芸術の持つ可能性について関係者と議論を深める予定です。

<プロフィール>

ストリートワイズ・オペラ
オペラや音楽を体験することにより、ホームレスの人々が前向きに社会と関わりを持てるようになれる機会を提供している英国のアート団体。ホームレス支援者やプロの音楽家と協働し、英国各地でホームレスの人々を対象とした音楽ワークショップを定期的に実施するほか、ホームレスの人々とプロの音楽家のコラボレーションにより大規模な作品の制作を行っている。さらに、イングリッシュ・ナショナル・オペラやスティッシュ・オペラほか芸術団体を対象にしたトレーニングも展開し、社会的弱者である人々を対象にした参加型の音楽ワークショップを運営できるリーダーの育成も行っている。一般の人々のホームレスに対するイメージをポジティブに変えていくことにも大いに貢献しており、2002年の設立以降、その取組みはメディアでも数多く取り上げられ、英国内外で高い評価を受けている。2012年にはロンドン五輪に合わせて開催された大規模な文化プログラム「ロンドン2012フェスティバル」の一環として、ロイヤル・オペラ・ハウスで総勢300名の英国各地のホームレスの人々が参加する作品を上演し大きな話題を呼んだ。2012年の経験をもとに、ブラジルや日本など今後のオリンピックホスト国をはじめ世界各国でアートとホームレスをつないだ活動を行っている団体を繋ぎ、国際的なムーブメントを作っていくことを目指し、現在は国際連携プログラムにも力を入れている。

NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)
2003年に大阪で団体設立。ミッションは表現と社会の関わりをさぐること。2008年、日本最大の寄せ場・釜ヶ崎に拠点をうつし、喫茶店のふりをしながら、であいと表現の場をつくる。釜ヶ崎芸術大学プロジェクト、ゲストハウスなどを運営する。
http://cocoroom.org

ソケリッサ!
「ソケリッサ!」は造語で「それ行け!という言葉の勢い、前に進む」という意味を持つ名前。メンバーはダンサーのアオキ裕キ、そして路上生活者および元路上生活経験者で構成されており、ダンスを主とした肉体表現を行う。路上生活経験の記憶を持つ身体から何が生まれるのか、人前に立ち踊ることで何が起こるのか? これらの視点を持ち、2005年より参加者を募り、舞台公演や路上などでパフォーマンスを主体とした活動を行っている。
http://sokerissa.net

<Uma So Voz参加者一覧>

  • NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)/ 上田假奈代 (日本) 
  • ソケリッサ  / アオキ裕キ、横内真人、小磯松美(日本) 
  • Choir with No Name /  Pete Churchill (英国)
  • Cardboard Citizens / Adrian Jackson、Terry O’Leary (英国)
  • Mustard Tree / Jez Green  (英国) 
  • Shelly Coyne / Shelly Coyne (英国)  
  • Streetwise Opera / Matt Peacock、Ellie Raymont (英国) 
  • People's Palace Projects / Renata Peppl (英国・ブラジル)
  • Milkcrate Theatre / Jessica Hermosilla、Margot Politis (オーストラリア)
  • Theatre of the Opressed NYC / Sophie Nimmannit (米国)
  • Som da Rua / Jorge Prendas、Jorge Augusto、Ana Ribeiro (ポルトガル)

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