ブリティッシュ・カウンシル 日本事務所設立70周年
次の時代を見据えた日英文化交流の拡充へ
- 人と人との交流の活性化
- 英語と教育を通した若者の国際化を支援
- 教育と文化芸術における国際的なパートナーシップ構築の強化
英国の公的な国際文化交流機関ブリティッシュ・カウンシル(所在地:東京都新宿区 駐日代表:マシュー・ノウルズ)は本年、日本での設立70周年を迎えました。このほど、日英外務省による人的交流に関する新たな「協力覚書」が調印されたことを受け、教育や文化芸術の分野における人と人との交流を活性化し、これからの時代を見据えた文化交流をさらに発展させていくための抱負を発表しました。
- 持続可能な両国の繁栄を視野に、次代を担う若者が能力を最大限に発揮できるよう支援するため、特に英語と教育の分野において日本のパートナーとの協働を推進します。
- 世界が直面する共通の課題に取り組むくため、英語、教育、文化芸術を通し、強固な国際的パートナーシップを築く機会創出を強化します。
教育における若者の国際化支援
国内外の様々な分野でグローバル化が進む中、英語コミュニケーション力は、世界中の人々とのつながりと相互理解を深めるのに役立ちます。これに基づき、若者が実用的な英語力と自信を身につけられるよう、日本の学習者および指導者に対する支援を行ってきました。引き続き、英語4技能育成を目指す日本の英語教育改革をサポートしていきます。
最新の取り組みの一つは、東京都の「グローバル人材育成方針」に賛同し、中学生の英語力育成に向けた東京都との協働です。本年度より公立中学校で実施する英語スピーキングテストを共に開発・運営し、学校現場での指導や学習の改善につなげられるよう支援します。
また、全国の学校における英語教育を支援する幅広い活動を展開しています。英語教員が学習指導要領に沿った授業を展開するための研修を企画・実施するほか、教育委員会が教師の授業力向上を導く効果的な教員研修を企画できる支援を提供しています。最近の活動の一つが和歌山県高野町との協働で、小中9年間の英語教育プログラムを構築するプログラムを2021年に開始しました。教師が自律的に授業改善を続けられるプログラムとして、自治体の英語教育の実践を支える一例となっています。
英国は2030年度までに毎年年間60万人の留学生を誘致するという目標を掲げています。コロナ禍であったにも関わらず2020年度および2021年度に2年連続でこの目標を達成し、日本からの留学生も順調に回復しています。ブリティッシュ・カウンシルは今後、英国の高等教育機関への留学促進に注力し、政府、民間団体や非営利団体による奨学金制度や就学ビザなどの情報提供のほか、留学エージェントや大学・高校の英国留学アドバイザーへの支援、日英高等教育機関や政府に対するマーケットインサイトの提供を拡充します。
また、日英の若者の交流を強化するため、英国の学生に日本での就学や就労の機会を与えるプログラムの紹介にも尽力していきます。
高等教育における連携
気候変動や保健、衛生、医療問題などグローバル社会の課題解決に向け、日英の高等教育における学生、若手研究者、研究者間の学術協力や人的交流の拡大のための大学間の交流プログラムを促進します。ブリティッシュ・カウンシルが構築した日英12の大学による連携プログラム「RENKEI」は今年11年目を迎えました。大学や研究機関の共同研究、また、政府、政策実施機関、産業界、民間非営利団体との連携を積極的に構築し、今後も世界共通の課題に応える研究機会を推進していきます。今年、英国の科学・イノベーション・テクノロジー省が設立した大型の研究助成プログラム『ISPF(International Science Partnerships Fund)』は、国際科学研究の分野での協力、若手研究者の人材育成を促進するものです。日本では特にAI、量子、半導体などのテクノロジーや気候変動の分野に注力し、国際協働研究や人的交流のための助成金やワークショップを実施します。 また、今後、新たに注力する分野としては、各ステークホルダーとの協働による、高等教育・社会における女性研究者の増加や女性リーダー育成です。
文化芸術の力でクリエイティブな社会を築く
日英両国の文化芸術、クリエイティブ産業分野で活躍するアーティストや組織の国際的なネットワーク構築を支援し、より豊かで創造性に富んだ社会を築くことをめざします。また、英国の優れた文化芸術を紹介することにより、文化的交流を促進します。高齢化や気候変動といった共通の社会的課題に直面している両国において、日英の文化芸術関係者が協力し、アートを媒介とした革新的なアプローチや実践的な解決策を推進し、これらの社会課題の解決に働きかけます。さらには、アーティスト、文化芸術団体、研究機関、企業といった異なるセクターの間のパートナーシップを深め、文化と技術の融合を促進することで、新技術を活用した先進的なクリエイティブコラボレーションを積極的に支援します。