ブリティッシュ・カウンシル長期研究プログラム「Future of English(英語の未来)」第一次報告書
- 英語は今後10年間、世界で最も広く話される言語としての地位を維持
- AIや機械学習などが増加しても、教師が英語教育の中心であり続ける
英国の公的な国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシルは、世界の共通語としての英語に関する長期研究プログラム「Future of English」を2020年に発足しました。当研究プログラムは、今後10年間の英語の役割に影響を与えるトレンドを特定し、世界の国々の英語使用に関する目標達成に向けた課題や機会を検証することを目的としています。このほど、2021年6月から12月に行った調査を基にした第一次報告書が発表されました。
主な調査結果
- 英語は、世界で最も広く話される共通言語として、今後10年間またそれ以降も、その地位を維持すると思われる。英語学習者数は横ばいか増加すると予想されるが、その主な理由は、雇用、教育機会、技術革新、国際的な人的移動によるものである。
- AIなどの技術が進化しても、教師は、実用的な英語の指導・学習において中心的存在であり続ける。一方、世界の複数の国や地域では、英語教師自体、また熟練した英語教師が不足しているという懸念がある。英語教師の専門能力を高める機会や支援を継続的に提供することは不可欠である。
- 多言語主義(Multilingualism)を支持することは、文化の豊かさを維持・促進するために重要である。教育政策においては、言語が学習者と社会に利益をもたらしているかについての慎重な検討と計画が必要である。
- 政策立案者は、英語力評価の取り組みを継続的に見直し、評価のあり方が今日の学習、仕事、社会生活における活動の目的に適うものになっているか確認するべきである。
- 英語を母語話者のように流暢に話すことが理想という考えから、英語の熟達は、より実際的で、状況や目的にあったやり方へと、ビジネス界の主導により徐々に取り組み方が変化してきている。
- AIは指導、学習、評価を進歩させる可能性を秘めているが、テクノロジーにアクセスしづらい学習者のために代替策を見つける必要がある。また、デジタルデバイドを解消するためには、インフラやトレーニングに大規模な投資を行うことが必須である。
調査方法概要
2021年6月から12月にかけて、世界49カ国の応用言語学や言語評価などの分野の政策立案者や専門家92人と、ブリティッシュ・カウンシルのネットワークで豊富な現場経験を持つ専門家が複数回にわたる円卓会議を実施しました。本報告書は、その結果をデスクリサーチやその他の調査から収集したデータと共に統合したものです。
今後の「Future of English」の研究テーマ
- 国別の英語運用能力
- 教育政策に外国語を導入することの効果
- テクノロジー活用の効果
- 英語学習の社会的・経済的な利益
第一回報告書の概要(英語)はこちらからご覧ください。
また全報告書をご覧になりたい場合は、以下のページよりお申込みください。
https://futureofenglish.britishcouncil.org/