準優秀賞に輝いた五十嵐詩帆さん(渋谷教育学園渋谷高等学校3年生)にお話しをうかがいました
Q: このエッセイコンテストに参加しようと思った理由を教えてください
もともと環境問題についてはとても興味があって、たくさんの動画を観たり、記事を読んだりしていました。このエッセイコンテストは英語と日本語の両方で書くことになっていましたが、言語によって考え方や表現の仕方も違ってくると思ったので、2つの言語の視点から環境問題を考えることに挑戦してみたいと思って参加しました。
Q: 気候変動の問題に興味をもつようになったきっかけ、また影響を受けた事柄や人物は?
9歳ぐらいの時、シンガポールに住んでいたのですが、ヘイズという、インドネシアの森林を燃やすことによってできた煙がシンガポールに飛んでくるという煙害にあいました。それで実際に学校に行けなくなったこともあり、その被害を目の当たりにしたので、そこから環境問題について興味を持つようになりました。
私がシンガポールで通っていた学校では授業で環境問題を扱ったので、学校でも色々と勉強したり、友達と話したりしていました。もともと自然は大好きで、学校の近くの公園で植物ガイドのようなことをする環境保全系の部活に入っていたので、それが良いきっかけになったとも思います。
Q: 普段から、気候変動や環境問題を意識した生活習慣があれば教えてください
大きな取り組みをしているわけではないのですが、ペットボトルは極力使わないようにしています。以前、学校で会議を企画した時に、議題を海洋プラスチックに決めて色々と調べていたら、1つのペットボトルでも海に流されてしまうと500年ぐらい分解されずに残ることを知りました。自分が使った1個のペットボトルが500年も、自分が死んだ後もずっと残るのかなと想像したら、今までは自分ひとりがペットボトルを減らしても何も変わらないのではないかと思っていたのですが、やはり減らすのには意味があると思うようになりました。
でも、ペットボトルを使っている友達に、「どうして使っているの?」と聞いたら、衛生面で、やはり使い捨てのボトルの方が良いと思う人がいることがわかりました。私はペットボトルの代わりに水筒に自分で飲み物をいれて使うのは苦ではないのですが、ひとりひとり事情や好みもあることを考えると、難しいなとも思いました。
将来はもう少し、さらに環境問題を意識した生活をしたり、消費をしたりしたいなと思っています。
Q: どのようにすれば、日本の同じ世代の方々が、普段から、気候変動にもっと興味をもち、意識を高められると思いますか?
私はYouTubeを使って、環境問題について発信しているチャンネルの動画を観たりしていますが、TEDなど、わかりやすく噛み砕いた解説をしている動画がたくさんあります。動画を観ている若い世代の人は結構多いと思うので、それを切り口にもっと本格的な記事や本を読むようにしたらいいのではないか、と自分の経験から思います。
友達とは環境問題について少しは話すのですが、環境よりも貧困や人種差別の問題などの方が切羽詰まって今生きている人に直接被害を与える、という点で重要なのではと考えている友達もいます。でも、そういう問題にも環境問題はやはり何かしらの形では関わっていると思うので、その視点からも、環境問題について考えて、引き続き友達と話したいなと思います。
Q: 準優秀賞に選ばれて、どのように感じますか?
自分の考え方を理解してくださる方々がいて、伝えたかったことが伝わったと感じたので、とても光栄に嬉しく思っています。でも、やはりまだ私には知識が足りない面があるので、しっかりと今回書いた内容に対して責任を持って、もっと勉強したり、自分の持っていない視点を持つ人と会話を重ねたりして、より知識を深めていけたらなと思いました。
表彰式では、実際に環境問題に関わっている英国大使館の方々にたくさん質問をしてお話を伺うことができて、自分の視点や考え方が広げられたと思いました。すごく実りある機会でした。
Q: 将来はどのような仕事をしたいか、勉強をしたいか、またはどんなライフスタイルを送りたいと思っていますか?
大学に進んだら環境問題を中心に勉強したいと思っていますが、色々と調べていると、環境問題は社会、経済、政治の面など、本当にあらゆる分野に関わってくる問題なので、ただ単に「環境問題はどういう問題なのか」をざっくりと学ぶのではなく、政治や経済と交えて、現実的な視点で考えられるように視野を広げながら勉強したいです。
私は芸術も大好きで、絵を描いたり、歌を歌うことも好きなので、自分の趣味を環境問題と掛け合わせて、何か芸術を使って環境問題を表現したり、環境問題に対する解決策を見出したりできたらいいな、と思っています。
Q: 英語を学ぶこと、使えることで、何か可能性やチャンスが広がると感じたことはありますか?
可能性というよりは、不思議だなと思うことがあります。日本語と英語では入ってくる情報が全く違って、例えば日本に関していうと日韓関係の問題について、日本語で調べると見えてくる意見があって、でも英語の意見を見ると議論されている価値観や論点が全く違っていて。英語と日本語の情報にはびっくりするほどの差を感じるので、自分としてはどちらの立場に立つべきなのか結構迷ってしまうこともあります。日本語と英語とではものを見るフィルターが全く変わってしまう気がして、それが自分に不思議な感覚を与えるのだと思います。そういう不思議だなと思える機会が沢山あることによって自分のフィルターが増えて視野が広がったり、もっと多様な意見に寛容になれたりするのかな、と思うこともあります。
Q: 今回のコンテストで提案した「気候変動を回避し、豊かな社会をどう実現するか」のアイデアを簡単に教えてください
「環境への優しさ」を測る世界共通の単位を作って数値化し、それに基づくポイント制度をつくります。環境に優しい商品を買った消費者や、環境に配慮しながら活動している企業に、ポイントという形で経済的な見返りをつくり、それによって個人や企業の環境に対する活動の動機づけをつくる、というものです。このアイディアを考えた理由は、一人一人が現実を見ながらも「自分に返ってくるメリット」を目指して前向きに取り組めたらいいな、と思ったからです。環境問題については意見がとても割れていると感じるので、人の感情や行動心理に注目しました。