グローバル化が進む社会・経済の中で暮らし、働いていくために必要だと言われる「21世紀型スキル」。世界共通の未曾有の問題に直面し、新たな暮らし方や働き方に目を向ける時間が増える中、さまざまな課題や状況の急速な変化に対応できる基本スキルの重要性を身近に感じた方も多いのではないでしょうか。
問題を解決するために自分の知識を生かす、デジタルツールを使用して情報収集するためのリテラシーを育む、新しいアイディアや解決策を生み出し機能させる。学校教育の中でも実社会に関わる21世紀型スキル(コアスキルと能力)を育む必要性への意識が高まっています。
そのスキルとは;
- 働き方(ways of working):コミュニケーションとコラボレーション(communication and collaboration)
- 考え方(ways of thinking):批判的思考、問題解決、創造性と革新、学び方の習得、メタ認知力(critical thinking, problem solving, creativity and innovation, learning to learn and metacognition)
- 働くためのツール(tools for working):情報リテラシー、情報通信技術(ICT)リテラシー(information literacy, information and communication technology (ICT) literacy)
- 世界での暮らし方(ways of living in the world):文化的な意識と能力を含む、グローバルな市民権と市民としての責任(global citizenship and civic responsibility, including cultural awareness and competence)
ブリティッシュ・カウンシルが焦点を当てる6つのスキル
その中で、ブリティッシュ・カウンシルの英語教育が焦点を当てるコアスキルは大きく6つに分かれます。
- 批判的思考と問題解決(Critical thinking and problem solving):新しい革新的なアイディアを生み出し、問題を解決する自主的な思考を促し、学習経験とプロセスを批判的に捉え、効果的な意思決定を行う。
- コラボレーションとコミュニケーション(Collaboration and communication):効果的なコミュニケーションを促す(口頭・書面)、多様で多言語的な環境の中で積極的に他の人に耳を傾け、関わりあい、言語的・非言語的コミュニケーションを理解すること。革新的なアイディアや解決策を導くために、共通の責任を負い、協力し、リードし、委任し、妥協する、他者から学習を学び、他者の学びに貢献するなど、多様な国際チームで働く能力を育成する。
- 創造性と想像力(Creativity and imagination):経済的、社会的な起業家精神を促進;新しいアイディアを想像し、追求し、価値を判断し、革新と好奇心を育む。
- 市民権(Citizenship):人間と環境のサステナビリティの問題に取り組み、相互尊重と開かれた対話の精神で公平な世界に向けて取り組むスキル、知識、動機を持つ積極的で世界に目を向ける市民を育成;自国の市民であることと自国の価値観への理解を深める。
- デジタルリテラシー(Digital literacy):グローバル化した経済における知識と情報を発見・収集・伝達するスキルを育成する;国際的なコラボレーションを通じて、技術を活用して学びを強化し、広げ、深める。
- 学生リーダーシップと個人の育成(Student leadership and personal development):誠実と共感の重要性を認識;他者が必要とすることと安全性を認識;忍耐力、回復力、自信を育む;リーダーシップ、自己規制と責任、個人の健康と幸福、キャリアとライフスキルを探求する;学び方、生涯通じての学びを学ぶ。
これらを通じてブリティッシュ・カウンシルは、近年ユネスコの教育の再考で再注目され、再文脈化されたように、学習の経済的、社会的、文化的、市民的側面を平等に重要と捉えています。
スキルと知識の関係
これらのコアスキルはまた、知識と同時に身に着けることで、より効率的に学ぶことができると言われます。
「知識とスキルは二重らせんのようなもので、表面的な学習から深化した学習まで並行して進歩するもの。スキルの習得は知識の習得に依存します」(Cited in Seven Myths About Education Christodoulou, D (2014), London, Routledge)
レッスンでのコアスキルの導入のタイミングが非常に重要で、学生はまず表面的な知識(事実)を必要とするので、それらを習得したあとに講師はそれらの事実の応用と活用、学生自身がスキルを磨くためにそれをどう活用するかを試す深化した学びのスキルを導入することができるのです。
コアスキルを伸ばす効果的な教育アプローチ
また、これらのスキルを効果的に育成するために重要な役割を果たすのがインタラクティブな、学習者中心の教授アプローチです。具体的には、次のようなアプローチが効果的とされています。
- 教える中で生徒のバックグラウンドや経験を(前向きな姿勢で)引き出す
- メタ認知、自己調整、自己学習を増やす
- 生徒への応答フィードバック(教師からのフィードバックを含む、持続的かつ包括的なもの)
- 共同学習(習得学習や生徒同士の助け合い・教え合い、ペア・グループワーク)
- 多様性を取り入れたレッスン計画(多様な教育アプローチに基づく)
- 口頭での言語の介入(双方向型の質問形式、対話、言語学習、および現地の言語やコードの切り替えの使用)
- 学習教材の使用(デジタル、非デジタル、ローカルな素材)
ブリティッシュ・カウンシルの子ども向け英語コースでは、こうした多様な教育アプローチを取り入れながら、学生にとって身近で自然に興味関心のあるトピックを英語で学ぶことを通して、英語技能とコアスキルの育成をサポートしています。
【参考】Core skills - unlocking a world of potential(British Council TeachingEnglish)