【システムチェンジ】~行動変容がもたらす社会イノベーション~
2012年に立ち上げられたFuturesは、フューチャーセッション・アプローチを用いて、日英の企業が、社会起業家や政府関連機関など多様なプレーヤーと対話し、協働することを通して、社会イノベーションの創出を促すことを目指した、新たな国際的プラットフォームです。
2年目となる2013年度の最初のFuturesセッションは、「システムチェンジ」にフォーカスをあて、今年度のFuturesプログラムへ向けてのインスピレーションセッションを開催しました。セッションへは昨年12月に行われた英国社会イノベーションジャーニーで訪問した英国のWe Are What We Doという「社会の行動変容(behaviour change)」を専門としたソーシャル・エンタープライズのCEO、Nick Stanhope氏をゲストスピーカーとしてお招きしました。
We Are What We Doは日本でも話題となった英国のデザイナーAnya Hindmarchのエコバッグ「I’m Not a Plastic Bag (私はビニール袋じゃない)」を発案したことでも知られていますが、その他にもさまざまなプロジェクトを通して人々の日常の行動をよりポジティブなものへと変えていくことで社会課題の解決に取り組んでいます。活動の中心となっている考えは、一般大衆に向かって行動変容の必要性やそれを求めるメッセージを訴えるのでは実際の行動変容にはなかなかつながらない。だから人々が自ら「かわいい!」「好き!」「欲しい!」「使いたい!」と思うような実用的で魅力的な商品やサービスを作り、多くの消費者がそれを使うことで社会課題を考えるきっかけをつくり、解決へ向けた行動の変容を起こすこという「incidental effect(付随的な効果)」を生み出そうというもの。
Nick Stanhope氏は英国Oxford Universityを卒業後、地域コミュニティーに根付いた社会事業やソーシャルマーケティング分野で働くなど幅広く社会課題と向き合う活動に関わってこられました。今回は日本でお話をお聞きし、氏の考え方や情熱に刺激を受けヒントをもらうだけでなく、一緒に社会のシステム変革を考える貴重な機会となります。
また、セッション後にはFutures 2012年度の活動報告会を兼ねた懇親会を開き、「高齢化社会」をテーマとした初年度の活動を振り返りつつFuturesネットワークの更なる活性化、参加者の皆さんとの関係性構築を促進しました。
報告書
ページ下のリンクよりPDF版をダウンロードできます。
開催概要
日時:2013年6月5日(水)
会場:ITOKI Tokyo Innovation Center SYNQA
主催:Futures(ブリティッシュ・カウンシル、株式会社富士通研究所、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターGLOCOM、株式会社フューチャーセッションズ)
協力:花王株式会社、株式会社イトーキ、株式会社乃村工藝社、株式会社本田技術研究所
ファシリテーター:原田 博一氏、株式会社富士通研究所 ソフトウェアシステム研究所 インテリジェントテクノロジ研究部
ゲストスピーカー:Mr Nick Stanhope, CEO We Are What We Do
◆対象者◆
協働を通した社会イノベーションの創出にご興味のある方:
- 企業(従来のCSRの枠組みを越え、本業を通した社会イノベーションの創出にご興味のある方)
- 行政(企業やその他のセクターとの協働により社会的課題を解決する事にご興味のある方)
- NPO、NGO、ソーシャル・エンタープライズ(企業やその他のセクターとの協働を通して、活動のスケールアップ、スケールアウトをお考えの方。高齢化社会の取り組みに関心のある方)
◆プログラム◆
オープニング&チェックイン
インスピレーション&リフレクション
スカウティング
キージェネレーション
ウォールペインティング
ペインティングアプリシエーション
クロージング
Futures 2012年度の報告会と懇親会
スピーカープロフィール
Nick Stanhope(ニック・スタンホープ)略歴
英国のソーシャル・エンタープライズ、We Are What We Do代表。2002年オックスフォード大学卒業後、教職に就いたのち、2003年に奴隷制度廃止運動を行う Anti-Slavery International に活動家・資金調達担当として参加。翌年、ロンドンから南アフリカのケープタウンまでを7カ月かけて自転車で縦断する奴隷制度廃止運動のチャリティーランを敢行し、5万ポンドの支援金を集めて話題となる。この挑戦をつづった慈善事業ハンドブックともいえる初の著書『Blood, Sweat & Charity(血と汗とチャリティー)』を出版。2005年よりユースワーカーとして活動し、2006年には携帯電話会社、T-Mobileの支援を受け、青少年ためのオンラインによる課題解決の交流プログラムや、従業員向けのボランティアプログラムを開発する。
2007年、We Are What We Doに参画、2009年より代表(CEO)を務める。行動経済学的・社会心理学的アプローチに基づく社会やコミュニティーの行動変革を促すさまざまなプロジェクトを展開している。2011年に論文「The Incidental Effect: Exploring New Methods in Behaviour Change」を発表し、We Are What We Doのこれまでの成果と今後のミッションを掲げている。