大学入試や語学資格試験では、様々な場面・用途での英語活用を想定し、その目的や状況を理解する力が試されます。目標のスコアを獲得するためには、その本質を捉えるのはもちろん、出題される質問の特徴やパターンを理解し、正解を見つけるコツを知ることが大切です。どんな点に注意したほうがいいのでしょうか? 英語4技能「読む・聞く・書く・話す」の問題タイプ別に、準備するうえで気をつけるべきポイントや回答のコツを見ていきましょう。
第三回は「リスニング問題」です。(出典:LearnEnglish Teens)
|
1.リスニング前の準備
リスニング問題を聞く前にいくつか準備することが、高得点獲得へのカギとなります。
◎心を落ち着かせる
落ち着いて問題を聞くことは、問題をよく理解するうえで欠かせません。決して焦らず、深呼吸をし、あなたが持っている常識を活用しましょう。
◎何回問題を聞けるのか確認する
リスニング問題を何回聞けるかを知っておくことは重要です。
- 大抵の場合、リスニングテストではテキストを複数回繰り返します。一回目は、全体的な内容をくみ取り、二回目に具体的な情報を聞き取りましょう。
- 複数回、問題を聞ける場合、一回目に全ての答えを聞きとれなくても大丈夫です。落ち着いて、二回目に答えを聞きましょう。
- 答えが聞こえなくても焦らないこと。オーディオの後半でカギとなる情報が繰り返される場合があります。
- 一度聞いて全ての答えを聞き取れなかった場合は、文脈を考え、理にかなった答えを選びましょう。常識と推測が、正解を導いてくれるかもしれません。
◎タスクを注意深く読む
リスニング試験では、リーディング力も非常に重要です。余分な時間は、テキストを聞く前に質問を読むのに充てましょう。
- 問題文は、“常に”注意深く読みましょう。
- 設問の文中にある重要な情報には下線を引きましょう。
- 答えが選択肢になっている場合は、すべての選択肢を注意深く読みましょう。
- 問題文や選択肢に数字、日付、キーワードがある場合は、自分に向けて言ってみましょう。実際どのように聞こえるか考えるのに役立ちます。
- 選択肢が写真や絵の場合は、注意深く見て、それを描写する言葉を英語で考えましょう。リスニングで聞く言葉を予測します。
◎タスクを理解する
リスニング試験には様々な種類のタスクがあるため、問題に取り掛かる前にタスクの指示をしっかり理解する必要があります。
- 正しい答えをチェックするのか、写真/絵を順番に並べ替えるのか、はたまた空欄を埋めるのか。タスクが何なのかを把握しましょう。
- リスニングをしている間は、何をすべきか考えるのではなく、耳を傾けることに全集中しましょう。
◎自分の知識を活用して「予測」する
もしも問題のトピックがあなたの知っていることに関するものであれば、その予備知識は大変参考になります。
- 設問を見てください。トピックについてあなたが知っていることは何ですか? 英語でなく自分の言語で知っていることでも大いに役立ちます。
- 写真や見出しを見ましょう。トピックについてどのような情報を伝えていますか?
- トピックについてどんな語彙を知っていますか? リスニングでどんな単語が出てくるか予測しましょう。
- 英語でも自分の言語でも、リスニングをする前に既に持っているアイディアは、リスニング内容を理解するのに役立ちます。
- リスニングの前には必ず、答えを予測するのに役立つ手がかりを探してください。できるかぎり予測し、リスニングでは自分の予測と照合するようにしましょう。
◎話者を知る
リスニング前の準備として、音声の中に何種類の声が含まれているのか知ることは役に立ちます。問題文中に、誰が話しているのかを知る手がかりが含まれていることもあるので、シナリオを想像することもできます。
- 話者は何人いますか? 対話、それともモノローグですか? 指示をよく見ましょう。
- 文はインタビューですか? もしそうなら、インタビュアーの質問は問題文と同じ内容かもしれません。答えを聞きとるのに役立ちます。
2.リスニング中に気をつけること
準備を整え、いざリスニングの作業を始めます。リスニング中は、100%の集中が必要です。
◎聞き取らないといけない言葉は何?
聞き取りでは、一語一句を理解できないかもしれませんし、する必要もありません。タスクをこなすために理解する必要がある単語が何かを知ることが大事です。
- 一語一句を理解する必要はないので、全て分からなくてもパニックに陥らないこと!
- 一回目のリスニングでは、アイディア全般と要点に耳を傾けましょう。
- 重要なキーワードやアイディアは強調されるものです。一般的に他の言葉よりも音量が大きく、ゆっくり話されることが多いです。
- 強調されていない言葉は、強調されている言葉ほど重要ではない場合が多いです。
- 一般的に重要なキーワードを聞き取りましょう。ネイティブ・スピーカーでさえ全ての単語に耳を傾けていません。
◎重要な単語の意味が分からない場合
では、聞き取りをしていて重要な言葉が理解できない場合はどうすればよいでしょうか。
- 意味が理解できないけど重要だと思う単語を聞いたら、その文脈を考えてみましょう。別の単語でその文脈に当てはまるものはありませんか?
- その単語について長く考えすぎないようにし、残りの聞き取りを続けましょう。
- 重要な情報を逃さないように、残りの文を引き続き聞くことが重要です。
- キーワードやアイディアがオーディオの後半で繰り返される場合もあるので、もう一度単語やアイディアを聞き取るようにしましょう。
- 知っている単語でも発音を認識していない場合もあります。文脈から単語の意味を考えましょう。また、人は早く喋る時、しばしば弱い音になったり、一部の音が省かれることも覚えておいてください。
- 途中で聞くのをやめないこと! リスニングの一部を理解できなくても焦らず、次のパートを聞き続けましょう。実は、これはリスニングの大変重要なスキルです。次に進み、聞き続けることです。
◎文脈をとらえる
文脈はリスニング文の状況を示しており、ここからたくさんの補足情報を得られます。状況が分かれば分かるほど、シーンが想像しやすくなります。
- 文脈は、話者が何を話しているかについて知るヒントになります。文脈から何が分かりますか?
- 知らない単語を聞いたら、それが文脈とどのように関連するかを考えてみましょう。
- 答えに自信がない場合は、自分の常識を活用しましょう。どれが文脈の中で理にかなうでしょう?
- 話者はどこにいますか? 背景の音にヒントが隠れていませんか?
◎スペル、番号、日時
リスニング試験では多くの場合、単語のスペルや数字、日時を理解する必要があります。これらは日々の英語学習の中で準備できることです。
- 英語で単語のスペルを練習しましょう。
- 英語で色々な種類の数字の言い方を知っていますか? 電話番号や大きな数字、分数などの言い方を覚えておきましょう。
- 英語で日付の言い方を知っていますか? また、時間の伝え方を知っていますか? 様々な時間の伝え方を覚えておきましょう。
◎短縮形
リスニング問題では、言葉の短縮形や省略の仕方を認識することも役に立ちます。
- 話し言葉では、多くの短縮形が使用されます。注意して聞きましょう。例)-’d、-’s、-’ll、-’ve
- ひとつの音の違いだけで意味が大きく異なります。例えば、’I’ll go’は話者が「行く」と言っているのに対し、’I’d go’は話者が他の誰かに行くように助言している意味になります。
- どの短縮形が適切か、文脈から考えることも有効です。例えば、希望や夢について話すとき、-'d(=だろう)がよく使われます。
- 問題文を注意深くチェックし、短縮形に気をつけます。
- 短縮した単語とそうでないものの音を比較して聞く練習もしましょう。
◎イントネーション・感情
話している内容について、どんな風に、どんな声のトーンで話しているかは重要な情報になります。
- イントネーションに耳を傾け、話者の感情や話者が何を感じているのかを理解するのに役立てましょう。
- 話者は幸せなのか、悲しいのか、不安なのか、怖いのか、悩まされているのか…どう聞こえるでしょうか。
- 人は興奮しているときや幸せなとき、恐れたり、悩まされているときに、強い感情を表現するために声が高くなることがよくあります。逆に、退屈しているときや興味がないとき、しばしば声が低くなります。
- 話者の感情を理解することは、彼らが何を言っているのかを理解することに繋がります。
◎意見の表現
リスニング試験では、話者の意見について問われることが多くあります。特有の表現を聞きとることがカギとなります。
- 意見を述べる際に使われる表現を聞きましょう。
例)’In my view…’ ’I believe…’’I think…’ ’I disagree that…’ ’I can’t stand…’ ’I’m keen on…’ - 意見に対するリアクションから、意見を理解しましょう。
例)’You're absolutely right!’ ’You're wrong!’ ’How awful!’ ’That's fantastic!’
大抵、このような表現は高い声で話されます。
3.そのほかアドバイス
◎解答
いくつかの公式リスニング試験では、いつもとは異なる方法で答えを書く必要がある場合もあります。必ず試験前に、解答形式について知っておきましょう。
- 別の解答用紙に答えを書く必要がある場合は、解答を正しく複写しましょう。
- 問題をもう一度読んで、自分の解答が理にかなっていることを確認しましょう。
- 文法、スペル、句読点を注意深くチェックしましょう。
◎普段から英語を聞く習慣を身に着ける
リスニング試験の勉強は、工夫次第で楽しいものになります。英語を聞く回数を重ねるのが、リスニング試験克服の近道です。
- 英語の歌やテレビ番組、映画、動画、ラジオ、ポッドキャストなど、授業以外でも、あなたが興味のあるものを英語で聞く習慣をつけましょう。
- 英語字幕付きの映画を英語で観るのもいいでしょう。英語を聞きながら字幕を読むのは、単語のスペルと発音の違いを聞き分けるのに役立ちます。
- 英語の歌を聴きながら、歌詞を読みます。曲を聴きながら歌詞を読めるウェブサイトやアプリなど活用してみましょう。
4.リスニング問題タイプ別のコツ
リスニング試験で出題されるタスクのパターンに慣れれば試験本番で焦ることはないでしょう。最後に、タイプ別に解答のコツを見ていきましょう。
◎正誤問題
このタイプは正解率50%なので好きな人も多いでしょう。しかし、目標は100%正解することなので、そのためのヒントをいくつかご紹介。
- 聞く前に、文章が正しいのか誤りか予測をし、その確認をするために聞きましょう。
- 文章内のキーワードに下線を引きましょう。
- 文を質問に変えてみてください。正しい情報を聞きとる参考になります。
例:True or False: Cassie likes extreme sports.(正か誤か:キャシーはエクストリーム・スポーツが好きです) →Does Cassie like extreme sports? Yes or No?(キャシーはエクストリーム・スポーツが好きですか?イエスかノーか?) |
その次に、重要な情報を聞いて回答を確認します。
- 一般的に、重要な情報は強調されます。
- 誤答が減点にならない限りは、たとえ予想であってもこのタイプの問題は必ず全て答えましょう。正解率50%なので!
- 誤りの文章を修正するタスクの場合は、聞きながらメモを取り、聞いた後に正しい文章を書きましょう。聞いている間ではなく、聞いた後に、文法やスペル、句読点をチェックしましょう。
◎選択問題
選択問題も人気のタイプですが、よく似た選択肢が混在することがしばしばあるので、気をつけましょう。
- リスニングの前に、全ての選択肢を注意深く読み、キーワードに下線を引きましょう。
- 選択肢が数字や日付の場合は、リスニングの前に自分に言ってみてどんな風に聞こえるか考えましょう。
- 自分の常識を活用し、不可能だと思われる選択肢は削除しましょう。
- 選択肢の内容を識別しづらい場合、自分の言葉に置き換えてどう問題に答えるか考えましょう。それから再び選択肢を見返したときに、どの選択肢が自分の意見と一番近いですか?
- 解答を確認するために、重要な情報を聞き取りましょう。通常、重要な情報は強調されます。
- 話者が全ての選択肢について話すケースもあります。選択肢から正しいものを選ぶ前に、まずオーディオを全て聞きましょう。最初に聞いた選択肢は選ばないようにしましょう。
- 選択肢はリスニングの後に読みましょう。明らかに間違いの選択肢は削除しましょう。
- 誤答が減点にならない限りは、予想であっても必ず全ての問題に答えましょう。
◎自由記述問題
自由回答は難しくもありますが、いくつかコツがあります。
- 問題を読み、聞くのに重要な情報に下線を引きましょう。
- リスニングの前に、問題に番号を振り、聞く際、番号の横にメモを取りましょう。
- キーワードだけを書き取りましょう。聞いている間は、完成された、完璧な文章を書くことは不要です。
- キーワードは不完全でも、素早く書きとりましょう。
- 完全な単語ではなく略語で書きとりましょう。例)information→info、English→Engなど。
- 聞いている間は、スペルは気にしないこと。スペルは後で修正できます。
- リスニングの時間は、とにかく聞くことに集中し、書くことに囚われないようにしましょう。
◎文章完成(穴埋め)問題
リスニング試験では、メモを完成させるような穴埋め問題もあります。
- リスニングの前にメモを見ましょう。どんな情報が抜けていますか? 名詞、動詞、数字、日付、それとも名前?
- 必要な情報を予測し、確認のために聞きます。
- 聞いている間は、全ての単語ではなくキーワードを書き留めましょう。
- 聞いている間は、完全で完璧な文章ではなくメモを取る程度にしましょう。
- キーワードは素早く書きとりましょう。
- 完全な単語ではなく略語で書きとりましょう。例)information→info、English→Engなど。
- 聞いている間は、スペルは気にしないこと。スペルは後で修正できます。
いかがでしたか? 次回は「スピーキング」についてご紹介します。
ブリティッシュ・カウンシルの中高生向け英語コースSecondary Plusでは、様々なトピックやジャンルのライティング・タスクに取り組みます。また、プロフェッショナルな講師による指導と添削、フィードバックを通して、どのような形式のライティング問題が出ても対処できる実践力を身に着けていきます。コース詳細はこちら。
【合わせて読みたい】 |