中央研修のフロー

中央研修に参加する推進リーダー候補の先生方は、実際にどのような研修を行っているのでしょうか?

4段階の研修の流れに沿って、一年度の中で研修内容の概要をご説明します。

<基本スケジュール(2015年の一例)>
第1段階 集合研修1:5月12日(月)~16日(金)
第2段階 授業実習:5月19日(月)~
第3段階 集合研修2:10月14日(火)~17日(金)
第4段階 研修実習:12月~2016年末まで
⇒ その後、文部科学省より「英語教育推進リーダー」として認証

募集・事前準備

文部科学省の募集要項に沿って、各都道府県・政令指定都市教育委員会等より要件に該当する教員が推薦され、文部科学省が参加を決定します。

参加が決定した教員は、事前課題として授業案を提出、またその案に沿った実際の授業風景をビデオに撮影し研修に持参します。

第1段階 集合研修1(実践のための研修)

教員研修センター等の研修施設において4泊5日(5日24時間)の宿泊研修を行います。約25人を1グループとし、ブリティッシュ・カウンシルのネイティブ英語講師2名が2グループを担当します。

<主な研修内容>

研修初日には、英語力確認テスト(4技能)を実施。研修参加時点での英語力を把握し、各自の英語力の向上のために役立てることを目的としています。

集合研修1のセッションでは、まず「児童/生徒」として様々な活動を英語で実体験したのち、少人数グループに分かれて実際に模擬授業(マイクロティーチング)を行います。

例として小学校「絵本の活用」のセッションでは、授業で絵本を活用する意義、絵本の活用の仕方、抑揚、身振りや表情を使って児童を巻き込む方法などをまず自ら児童として体験したあと、グループに分かれて、他グループとフィードバックを行いながら絵本を読むマイクロティーチングを行います。

また中学・高等学校の研修では、一週間を通じて4技能のすべての指導法を取り扱い、教科書をどのように適用するか、インフォメーションギャップや自己関連性の活動をどのように取り入れるなど、特定の課題についても取り上げます。一週間の研修終了時には、マイクロティーチングと授業案作成の両方を体験し、学校に戻ったあとに、研修で学んだことを実践する実際の授業案の作成ができるようになっています。

参加教員の声:

「英語に自信がもてなかった私でも、シンプルな英語をジェスチャーとともに使えばよいということがわかり、自信がもてました。子どもが心から楽しめる外国語活動を目指します」 (小学校教員)

「研修を受ける前はどうしても文法の説明、その文法を使ってのコントロールされた活動、教科書の読み取りとパターン化された授業をしていたが、生徒がより自発的に英語を使ってコミュニケーションを図ろうとするために段階的に授業を進める方法を教えていただき有難かった」 (中学校教員)

「自分がコミュニケーション活動だと思ってやっている活動が実はそうではないと分かったり、他の先生方と意見交換しているうちに解決策が見えてきたりしました」(高等学校教員)

第2段階 授業実習

集合研修2までの約4か月間に、各々が第1段階で指示された課題(授業計画)とリフレクション(集合研修の振り返りや授業実践の記録等)を行います。また、オンライン教材等を通して、英語力向上に向けた自学自習を継続的に行います。この間、専用のオンラインコミュニティを通じて、参加者同士や講師、ブリティッシュ・カウンシルと継続的に連絡を取り合い、授業の実践や授業案についてフィードバックを受けたりすることができます。

また、集合研修2の開始前に、研修参加者は(1)第2段階で実施した授業を録画したビデオ、(2)当該授業のねらいと簡単な流れを含む授業指導案を提出します。

第3段階 集合研修2(研修指導のための研修)

集合研修2は、再び同じグループで4泊5日の宿泊研修を行います。各地域での研修を運営するため、学習理論の習得と、マイクロトレーニングのセッションを通して、「英語教育推進リーダー」としての知識と技術を養います。

<主な研修内容>

まず研修参加者の持参した授業ビデオを相互に視聴し、フィードバックを行います。これによって、集合研修1を経て参加者自身や仲間がどれほど教室英語の使用を増やしたのかなど、中央研修で学んだ活動をどのように授業に取り入れることができているか互いに確認することができます。

この週のシラバスは、参加者が効果的な研修を行えるよう支援することに主眼を置いています。ディスカッション、参加者同士あるいは講師からのフィードバック等を含めた様々な準備や、実際に研修で使用する教材を用いたマイクロトレーニング(少人数による模擬研修)を行い、のちに実施する研修実習の質を向上させ、教材や各言語活動の背後にある理由づけに対して理解を深めます。 

最後に参加者は研修を実施するにあたっての自己評価を行います。

参加教員の声:

「大変な一週間でしたが、終わってみると充実したものとなりました。実際に研修講師となって指導する立場としては、もう少し自分自身の勉強も含め、練習する必要がありそうですが、何とかこの大事な使命を経験に変えて努力したいと思います」

「集合研修2は厳しいものとなったが、その時に準備していたことが研修実習の時によみがえり、役に立っているように感じる」(小学校教員)

「この研修で、来年度研修実習を行う自信ができました。とても系統だっていてトレイナーもすばらしかった」(中学校教員)

「マイクロトレーニング、インプット、他の先生方との情報交換に至るまでこの研修の内容すべてが役に立つと思いました」(高等学校教員)

第4段階 研修実習

第3段階までを修了し、研修実習を行う推薦を受けた参加者は、所属教育委員会での研修実習(伝達講習)において講師をつとめることになります。

研修の準備に当たっては、オンラインコミュニティを通じて、参加者同士や講師と継続的に連絡を取り合い、質問をしたりアドバイスを受けたりすることができます。

研修参加者は、所属教育委員会が主催する研修会等において研修実習を実施するための計画書を作成し、講師を務めます。それぞれが14時間・8項目の所定の研修を、20~30人程度の英語教員(小学校の場合は各校1名の中核教員)に対して実施します。

研修終了後、実施した研修実習についての自己評価を実施するとともに、報告を行います。各自所定の研修を実施したのち、教育委員会による報告、ブリティッシュ・カウンシル講師による実地踏査等を経て、文部科学省より推進リーダーとして認証されます。

研修実習を終えたリーダーの声:

「(最終セッションで)グループ毎に行っている演習の様子は圧巻でした。全7回の研修で得てきたものを出し切っている様子、小学校の先生方がオールイングリッシュで生き生きと自信を持って演習されている姿に鳥肌が立ちました。大きな達成感が得られた一幕でした。」 (小学校)

「ほとんどの参加者は、授業をよりコミュニカティブにするための手掛かりやスキルを手に入れることができたと思う」 (中学校)

「教員が英語の授業を生徒目線で分析できるこのような研修はとても効果的で受講者の意欲を高めるものだと思う」(高等学校) 

研修実習受講者の声:

「教員側とともに子どもの思考の流れや実態を考えた手立ても紹介され、自分でも活用できそうなものが多かった」

「どの講師の人も私たちと変わらない身近な教員という感じで親しみやすかったです」(小学校)

「講師が自分の授業でしたことを話してくれたので、それぞれ指導法を理解しやすかった」
「活動がいかに生徒の意欲を引き出すかということに集中していたのがよかった。教員は教員中心に英語を教えてきたが、それが変わるのはよいことだ」 (中学校)

「英語を使うことは大事だとわかっていたが、得意でない生徒に対する授業ではあきらめることも多かった。研修で学んだ、活動の際の簡単で明確な指示はとても役に立つし、私の生徒にすぐに応用できると思った」 (高等学校)

研修受講者による授業改善

中学校・高等学校においては、最終的に都道府県内すべての英語教員が推進リーダーによる研修を受講し、自分の授業改善を行ったうえで、研修内容を波及することを目的としています。

小学校については、各校1名の中核教員が推進リーダーによる研修を受講、自分の授業改善を行うことを通して、各校で授業見学やDVD教材鑑賞等の校内研修を行うことで研修内容を波及します。

校内研修等の詳細については、「都道府県の研修受講者の方へ」もご参照ください。

本サイト内の関連ページ