RENKEI Climate Change workshop 2018
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Kenichi Aikawa

ワークショップ:気候変動における日英共同研究の構築に向けて 2018年11月29・30日(東京)

このワークショップでは、RENKEIの12大学から、背景、世代、専門分野の異なる約50名の研究者が集結し、気候変動に関する新しい共同研究の可能性について議論を行い、今後の活動に向けたテーマを特定しました。また、産業界からスピーカーをお招きし、日英両国の政府の視点を確認するなど、気候変動という大きなチャレンジに対する、大学という枠を超えた幅広いセクターとの課題解決に向けた協働のあり方について探りました。

エジンバラ大学のジョン・ターナー氏によって率いられた2日間に渡るワークショップの冒頭では、一般財団法人日本気象協会の本間基寛氏が、同協会における「食ロス」の課題への対応や、食糧生産におけるリスク評価に関する活動について紹介。さらに、株式会社東京海上研究所の加藤大輔氏より、昨今の異常気象における保険ビジネスへの甚大な影響と、気象予測における研究の進展についてお話がありました。さらに、株式会社IHIの今堀郁枝氏から、再生エネルギーへの転換や化石燃料による影響の削減など、気候変動に対する技術による解決策は、いかに効果的な産学連携によってもたらしうるかという点について意見が示されました。

続く、日英両政府における気候変動の主要課題について理解を深めるセッションでは、京都大学の立川康人教授が、近年の日本における洪水による甚大な被害を背景とした、農林水産省による気候変動に対する適応策について紹介。さらにニューカッスル大学のセリーナ・ステッド教授が、英国政府による二酸化炭素排出量の削減と気候変動への適応策の概観を述べたあと、サンゴ礁への影響とそれによる人々の生活の変化に関する英国政府の助成による研究プロジェクトについて紹介がありました。そのうえで、ニューカッスル大学のダイアナ・ザノヴィック氏と、京都大学の鮎川慧氏が、日本と英国の共同研究を可能とする助成金についてプレゼンテーションを行いました。

2日間に渡るワークショップではグループ・ディスカッションに多くの時間が割かれました。その中で、将来の研究連携のテーマとして挙げられたのは、レジリエンスを可能とする都市計画、洪水対策への学際的なアプローチ、食糧保全と持続可能な農業、気候変動における健康のマネージメント、不安定な時代における適応政策、気候変動問題への未来デザイン方法論の適応などです。

このワークショップの成果としては、参加する研究者が、RENKEIを構成する12大学における研究の専門性と強みに対する理解を深められたこと、また将来の研究連携のパートナーとのネットワーキングを行ったことが挙げられます。英国からの研究者は、「自分の研究分野について、日本の大学でどのような研究が行われているのかについてよく知ることができましたし、将来、研究助成を申請する際に連携のできる研究者を特定することができました。」と述べています。また、このワークショップをとおして、新たな大学間協定の締結に向けた議論が始まるだけでなく、具体的な共同研究に向けた話し合いが行われるなど、日英両国の共同研究のさらなる発展に寄与する動きが生まれました。

さらに、このワークショップでの議論を通して、今後、RENKEIの12大学が取り組むべき気候変動の研究課題が特定されました。

  • 低炭素社会とグリーンインフラストラクチャー
  • 洪水と水不足における将来のリスクと適応策
  • 食糧生産と保全における将来のリスクと適応策
  • 都市部における将来のリスクのマネージメントとレジリエンスの構築
  • エコシステムにおける将来のリスクと適応策
  • 人類の健康における将来のリスクと適応策

RENKEIの12大学の研究者は、これらのテーマについてさらに研究連携を深めるべく、2019年12月にニューカッスル大学にて再び集います。

リード大学:

  • 京都大学
  • エジンバラ大学
  • ニューカッスル大学

問合せ先

renkei@britishcouncil.or.jp