「人に支えられて生きていることの実感は人生の礎に」
名取拓真さん(大学4年生・2016年現在)
大学4年次に、大学を休学して自分で英国の大学に1年間留学した名取拓真さん。海外に行ったからこそ日本製品の素晴らしさがわかり、社会に出たら日本と海外をつなぐ役になりたいと話します。実は留学中ホームシックになったことも。名取さんが一つひとつハードルを超えられた背景には留学先での人の優しさがありました。
英語への興味が湧いたのはいつ頃ですか?
高校2年生のときに、住んでいる市の交換留学で1ヶ月、アメリカのカリフォルニア州にホームステイをしたことで英語や留学を意識するようになりました。
大学でも留学を決断した理由は?
国際化が進む中で、それに応えられる英語力を身につけると将来の選択肢が増えると思ったことと、バックグラウンドが違う人たちと交流することで人間としての幅が広がり、そのコミュニケーション能力は社会で必要不可欠だと思ったからです。
大学生での留学先にイギリスを選んだのはなぜでしょう?
イギリスの文化や音楽バンドが好きだったので、以前からイギリスには興味がありました。もう一つの理由は、海外の大学は始まるのが9月なので、4月から9月が空いてしまいます。この間に学べるプリセッショナルのプログラム(語学集中コース)が、イギリスに多かったということもあります。
留学前の準備はどういうことをしましたか?
出願手続きなどは留学エージェントのサポートを受け、願書やレポートは大学ゼミの教授や英語が得意な知人に英語添削をしてもらいました。
大学3年生の秋に留学するには2~3ヵ月しか準備期間がなかったので、4年生の春から行くことにしましたが、時間をかけて留学準備ができたことは良かったと思います。
渡航前に不安はありましたか?
行く前は「どうにかなるさ」くらいの思いで行ったのですが、着いた時にちょうどイースターの休みで寮生がほとんどいなくて、どこに何があるのかもわからず、孤独感に陥りました。寮に最初に戻ってきたオランダ人の留学生が声をかけてくれて、その時は本当にホッとしました。
スペイン、インド、ニュージーランドなどさまざまな国からの留学生がいて、共有のキッチンスペースで話をしたり、交流を持つようにしましたが、フラットメイトの優しさに救われましたね。
留学期間中はどのように過ごしていましたか?
勉強はレクチャーとセミナー構成でグループディスカッションもあり、事前勉強をしっかりやらないとついていけないほど厳しかったです。その傍らOxfam(※)を通じて、近所のチャリティーショップでレジ打ちのボランティア活動をしました。イギリスはボランティア活動が文化としてメジャーですし、CV(履歴)になるのでボランティア活動をする大学生も多いですね。
ローカルな人が来るので、なまりがすごくて聞き取れなかったのもそのうち慣れました。接客のときに、日本人ならではの丁寧な袋詰をしたり、ちょっと派手めな帽子を被って顔を覚えてもらう工夫をしたり、言語だけでないコミュニケーションも自分の幅を広げたかもしれません。ボランティア活動は留学中にやってよかったですし、自信につながりました。
留学中に楽しかったことは?
イギリス人はおしゃべり好きで、パブに入ってもすぐ隣の人と会話が始まるんですね。音楽ができると飛び入り参加できるおおらかさもあり、僕はギターを持っていたので、思いきってやってみました。そういった壁の超え方は自分にとって初めてのことですし、楽しかったです。せっかく海外にいるんだからとにかくやってみよう! といった度胸ですね。
名取さんにとってLife Changing Experienceは?
留学中は、日本の恋しさから孤独感があったので、人の優しさが身に沁みて、人に支えられて生きていると実感したことですね。これは日本にいたら体験できなかったでしょう。語学だけでなく、人とつながることの奥深さを感じたので、自分もそのように人と接することができる人でありたいと思うようになりました。
これから留学する人たちにメッセージを
苦しい状況で自分をどう律していくか、何を吸収できるかは留学の醍醐味だと思います。
どう生きていくかも考えさせられる時間でした。留学はアクティブな人のイメージがありますが、僕の体験上、奥手でも、行けば壁をひとつひとつ超えられますので、ぜひチャレンジして欲しいですね。
(※)Oxfam(オックスファム)は、世界90カ国以上で貧困を克服しようとする人々を支援し、貧困を生み出す状況を変えるために活動する国際協力団体。買い物をしながら国際協力に貢献できるチャリティーショップも世界各地で運営。
*留学情報
名取拓真さん(大学4年生・2016年現在)
留学先:イングランド北部 University of Leeds(リーズ大学)
コース:Integrated English study and study abroad(Business school)
滞在日数:2015年4月~2016年1月