New Directions 2019 テーマ

Realising Potential: Policy, Engagement, and Impact

第7回目を迎えるNew Directionsは、言語教育政策の立案、改革、実施において、言語評価が重要な役割を担う点に注目します。東アジアで開催されているこの学術会議は、今回、大学入試改革が進行中の日本で再度開催されることになりました。

テーマの背景

言語テストの質の決定には、テスト項目の内容や性質だけでなく、倫理や公正さといった外的・間接的要因も大きく影響することが、1980年代初頭より注目されていました。テストがどのように選択され、利用されるかは、教育政策によって左右されるため、言語テストの質や有用性を明確にするために重要なカギとなります。

東アジアにおいて、政府や教育関連の省庁の多くが、授業内容を更に充実させ、その結果としての教員や学生の英語運用能力向上を目指し、英語評価の政策改革を進めてきました。たとえば、スピーキング・テストやライティング・テストのようなパフォーマンス技能の評価を、大学入試や、就職試験、または学習プログラムに導入するというのも、そのひとつです。しかし、政策立案者や改革論者と、カリキュラムのデザインや教員のトレーニング、授業で使用する教材の責任者との間に、隔たりがあることが多いのが現状です。

New Directions 2019は、以下の課題への解答を探していきます。

  • 政策立案者は、現在実施している政策の改革を目指すのか、新しい政策を立案するのかを、どのように決定するべきか。また、新しいテストを導入する場合、何がその動機づけになるか。
  • 教育者はこの変化をどのように解釈し、授業を実施しているか。これによって起こる効果はどのようなものか。
  • 言語学習や英語運用能力についての政策改革は、どのような結果をもたらすか。
  • 政策立案者は、状況およびニーズをどう調整してきたか、そして、それはどのような影響を与えているか。
  • 試験運営団体と政策立案者は、全てのテスト受験者に公平な環境を提供するために、どのような対策を取っているか。
  • スピーキングやライティングが評価の対象外であった背景がある中で、新たにその2技能をテストに加えることの影響とは、どのようなものか。
  • テクノロジーを使用することによって生じる影響とは: 試験運営団体は、テクノロジーを使った評価方法の導入を早期に取り入れることが多いが、それによってテスト受験者や関連団体にどのような影響があるか。

テーマ

言語評価が担う、教育政策の立案、改革、実施における重要な役割について。
政策がどのように立案・実施され、受験者および関連機関にどのような影響を与えているか、および評価に関連した教育政策についての問題点に注目した研究発表を募集します。このテーマは、下記へ対する影響についても対象とします。

  • 受験者への影響
  • 教員がテストに備えてシラバスをどう適用させているか
  • テスト結果を基に何をどのように決定するか
  • テスト導入時の政策立案者の動機づけ
  • テスト導入による受験者の英語運用能力向上に関する総合的な評価

サブテーマ

現状と政策の調整

試験がもたらす影響を統合的に考察する手法として、特定のグループや地域、または社会全体において、いかにして言語テストの結果の有益性が重視視されているかを検証することである。このサブテーマでは、テスト採用時に、各地域や特定の対象のニーズと目的がどのように考慮されてきたか、また、調整ができた場合、調整が不足だった場合の影響についての研究発表を募集します。

ステークホルダーの取り組み

政策が決定され、実施されると、全てのステークホルダーに影響を与えます。そして、その評価方針の影響を一番に受けるのは、エンドユーザーである試験運営団体やテスト受験者です。このサブテーマでは、関連する多様なステークホルダーが、新しく導入された教育政策をどのように対応してきたか、対応に際しての動機づけはどのようなものだったのか、また、この決定が言語運用能力の向上にどのような影響を与えてきたかについての研究発表を募集します。

評価と多様性の受け入れ 

テスト開発者の重要な責任のひとつは、教育を受ける全ての個人に対して、テストへのアクセシビリティと公平性を担保することにあります。これは、国際言語テスト学会(International Language Testing Association: ILTA)の倫理綱領「言語テスト専門家は、受験者の尊厳に敬意を表さなければならない。専門家としての最大限の配慮を行い、言語テストサービスにおいて、全ての人のニーズや価値、文化を尊重すべきである。」を反映しています。このサブテーマでは、政策立案者、試験運営団体、または教員が、全てのテスト受験者に公平なテストの作成のため、どのように取り組んでいるかについての研究発表を募集します。

パフォーマンス評価の実施

国際基準やコミュニケーションのために必要な言語能力への理解が深まり、東アジア地域の政策立案者は、スピーキングやライティングといったパフォーマンスを含む4技能全てを評価することに、関心を高めています。しかし、各組織や教育者は、パフォーマンス評価に対してまだ充分な準備ができていないと感じており、教育現場でのさまざまな挑戦が続いています。このサブテーマでは、教育現場や教育システムにパフォーマンス評価を導入するための試みや影響についての研究発表を募集します。

テクノロジーとその重要性

テクノロジーは、教育分野、特に言語能力評価において、より重要な役割を担っていくことを期待されています。コンピューターを使用した言語テストの実施や、評価が自動算出されるだけでなく、スピーキングやライティングといったパフォーマンス技能のフィードバックさえも自動で行われていくことが日常的になっています。このサブテーマでは、言語能力評価におけるテクノロジーの重要性についての研究発表を募集します。

ジェネラル・ストランド

今回のテーマやサブテーマに加え、英語教育の新たな方向性についての優れたプロポーザル、または、東アジアで共有の課題や言語テストの幅広いエリアについての総合的な研究やプロジェクトを発表する機会を研究者に提供することも目的としています。ジェネラル・ストランドでは、今回のテーマと直接の関係がなくても、言語テストや評価を幅広い視点でとらえた、より本質的な内容の研究発表も募集しています。

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