絵画の中のビーチ

パンデミックの影響で、旅行に出かけられない日々が続いています。気分転換に海を訪れることも叶わない多くの人に向けて、本編では19世紀の絵画に現れる海辺を特集します。ジョン・コンスタブルらとともにイギリスの風景画にも大きな影響を与えたリチャード・パークス・ボニントン。《北フランスの河口》(1825-7年頃作)では、人気のない砂浜と水平線が、キャンバスを横切る鮮やかな筆使いで表現されています。19世紀は海水浴がブームとなり、ビーチがリゾート化された時代でもありました。ウジェーヌ・ブーダンやクロード・モネが1870年代前半に描いたノルマンディー海岸は、都市からの観光客で賑わっています。エドガー・ドガ《海水浴》(1869-70年頃作)は、この海岸の習作とアトリエのモデルを組み合わせ、架空の光景を創作しました。19世紀のライフスタイルを象徴する海辺の異なる表現を、ロンドン・ナショナル・ギャラリー、アソシエイト・キュレーター、サラ・ヘリングが解説します。

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オンラインでアートが鑑賞できる『A Curated Look』とは

パンデミックによって、私たちの生活は大きく変化しました。家族や友人との距離、自然との関係、住まいのあり方など、その変化は日常を取り巻く内外の環境にも影響を与えています。そんな今だからこそアートを鑑賞することで得られる、新たな気づきとは——。300年以上前に描かれたフェルメールの肖像画に、ルーベンスの風景画に、私たちは改めて、何を読み取ることができるでしょうか?

ロンドン・ナショナル・ギャラリーが送る『A Curated Look(キュレーターの視点)』は、パンデミックの最中でいまこそ注目すべき作品を、キュレーターそれぞれの視点で選び、解説するオンライン・ギャラリー・トーク・シリーズです。自らの邸宅で多くの時間を費やした貴婦人像やアトリエで制作に勤しむアーティスト、田園地方に足を運びの大自然を描いたコンスタブルやコローなど、同館コレクションを代表する多くの名作が登場します。画家が描いたさまざまな光景やその眼差しを通して、私たちは空間を捉え直し、美を再発見することができるでしょう。5人のキュレーターが、ロックダウン中の自宅リビングからお届けします。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー

ロンドン中心部トラファルガー広場を望む荘厳な建築が、毎年多くの観光客を迎えるナショナル・ギャラリー。13世紀半ばから20世紀初頭までの2300点以上の作品が所蔵されています。イタリア・ルネサンスからポスト印象派に至る幅広い時代、地域とジャンルを網羅し、年間600万人以上の入館者数を誇る世界有数の美術館として知られています。

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