絵画の中のやさしさ
パンデミックという非常事態のもと、私たちは人々の思いやりを改めて認識することになりました。本編では、歴代の画家たちがどのようにして“やさしさ”を描き、美術が慈善活動に貢献してきたのかを考察します。イタリア・ルネサンス期の画家ヤコポ・バッサーノの《善きサマリア人》(1562-3年頃)、“英国絵画の父”ウィリアム・ホガース の《グラハム家の子どもたち》(1972年)、後期印象派の代表的な画家ジョルジュ・スーラの《虹:〈アニエールの水浴〉のための習作》(1883年)などーー。新約聖書の寓話から近代のイコノロジーまで、名画に隠された逸話や背景を紐解くことで、人間の普遍的な“やさしさ”を捉え直します。ロンドン・ナショナル・ギャラリー学芸部長クリスティン・ライディングがお届けします。
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オンラインでアートが鑑賞できる『A Curated Look』とは
パンデミックによって、私たちの生活は大きく変化しました。家族や友人との距離、自然との関係、住まいのあり方など、その変化は日常を取り巻く内外の環境にも影響を与えています。そんな今だからこそアートを鑑賞することで得られる、新たな気づきとは——。300年以上前に描かれたフェルメールの肖像画に、ルーベンスの風景画に、私たちは改めて、何を読み取ることができるでしょうか?
ロンドン・ナショナル・ギャラリーが送る『A Curated Look(キュレーターの視点)』は、パンデミックの最中でいまこそ注目すべき作品を、キュレーターそれぞれの視点で選び、解説するオンライン・ギャラリー・トーク・シリーズです。自らの邸宅で多くの時間を費やした貴婦人像やアトリエで制作に勤しむアーティスト、田園地方に足を運びの大自然を描いたコンスタブルやコローなど、同館コレクションを代表する多くの名作が登場します。画家が描いたさまざまな光景やその眼差しを通して、私たちは空間を捉え直し、美を再発見することができるでしょう。5人のキュレーターが、ロックダウン中の自宅リビングからお届けします。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
ロンドン中心部トラファルガー広場を望む荘厳な建築が、毎年多くの観光客を迎えるナショナル・ギャラリー。13世紀半ばから20世紀初頭までの2300点以上の作品が所蔵されています。イタリア・ルネサンスからポスト印象派に至る幅広い時代、地域とジャンルを網羅し、年間600万人以上の入館者数を誇る世界有数の美術館として知られています。