ロンドン・ナショナル・ギャラリーが送る『A Curated Look(キュレーターの視点)』は、パンデミックの最中でいまこそ注目すべき作品を、キュレーターそれぞれの視点で選び、解説するオンライン・ギャラリー・トーク・シリーズです。自らの邸宅で多くの時間を費やした貴婦人像やアトリエで制作に勤しむアーティスト、田園地方に足を運びの大自然を描いたコンスタブルやコローなど、同館コレクションを代表する多くの名作が登場します。画家が描いたさまざまな光景やその眼差しを通して、私たちは空間を捉え直し、美を再発見することができるでしょう。5人のキュレーターが、ロックダウン中の自宅リビングからお届けします。
絵画の中のワーク・フロム・ホーム(在宅勤務)
初回となる本編では、ロンドン・ナショナル・ギャラリーのコレクションから、邸宅のインテリアや室内に描かれた人物像を考察します。鍵盤楽器の前に佇む17世紀の貴婦人を描いたフェルメールの《ヴァージナルの前に立つ女》(1670-72年頃)——慌ただしく動的な世界とは対照的に静謐な空気に包まれ、ガラス窓から降り注ぐやわらかい光が絹のドレスを照らし出しています。エドガー・ドガの《髪を梳いてもらう女》(1886年頃)が描くのは、19世紀のモダンな都市生活の光景と女性の何気ない仕草です。絵画に描かれる世界が、すべて荘厳で華やかである必要はありません。日常のささやかな光景が胸を打つこともあります。自宅という閉ざされた世界を私たちは今どのように捉え直し、日々を豊かにする“美”を発見することができるでしょうか?同館アソシエイト・キュレーターのフランチェスカ・ホイットラム=クーパーが解説します。
※YouTubeの字幕設定で日本語字幕をオンにしてご覧ください。
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オンラインでアートが鑑賞できる『A Curated Look』とは
パンデミックによって、私たちの生活は大きく変化しました。家族や友人との距離、自然との関係、住まいのあり方など、その変化は日常を取り巻く内外の環境にも影響を与えています。そんな今だからこそアートを鑑賞することで得られる、新たな気づきとは——。300年以上前に描かれたフェルメールの肖像画に、ルーベンスの風景画に、私たちは改めて、何を読み取ることができるでしょうか?
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
ロンドン中心部トラファルガー広場を望む荘厳な建築が、毎年多くの観光客を迎えるナショナル・ギャラリー。13世紀半ばから20世紀初頭までの2300点以上の作品が所蔵されています。イタリア・ルネサンスからポスト印象派に至る幅広い時代、地域とジャンルを網羅し、年間600万人以上の入館者数を誇る世界有数の美術館として知られています。