英国では、美術館や博物館の再開が7月より認められるなど、ロックダウンの制限が徐々に緩和されてきました。しかし、劇場の再開については、まだ時間がかかるとされ、多くの演劇関係者が厳しい状況に直面しています。こうした中、老舗劇場の一つ、オールド・ヴィックが新しい取り組みをスタートします。
6月26日から7月4日、オールド・ヴィック劇場は、昨年秋に上演したマシュー・ウォーカス監督による演劇作品『ラングス』の「ソーシャル・ティスタンシング」バージョンを、無観客の劇場からライブ配信します。全8回の公演は、すべて、オンライン会議システムのZoomで配信され、各回1000人が視聴可能です。チケット料金は10~65ポンドの6種類で、どの「席」からもビューは同じですが、今後の劇場支援の気持ちを込めてチケット料金を選んでほしいという劇場の意向です。チケットの販売は6月10日からスタートし、すでに全席完売の回も。
『ラングス』は、環境破壊や政情不安にまみれた世界で、あるカップルが人生の大いなるジレンマを語っていく会話劇で、昨年秋にオールド・ヴィック劇場でネットフリックスの人気ドラマ『ザ・クラウン』のクレア・フォイと、11代目『ドクター・フー』のマット・スミスが演じ好評を博しました。脚本を手掛けるのは「オフ・ウエスト・エンド・アワード」を2013年に受賞した気鋭の劇作家で、近年、日本でも『1984』『エブリ・ブリリアント・シング』などの作品が上演されたダンカン・マクミランです。
「202年の歴史を誇るこの劇場で、カメラを通して最小限の演出でライブパフォーマンスを再現することは、私たちにとってもスリルに満ちたことです。しかし、この取り組みは刺激的でかつ創造性に富んだ試みであると同時に、通常の収入源がすべて失われた今、この劇場を、観客やコミュニティ、スタッフ、技術や舞台クルー、そして多くの作家、役者とともに存続させるためにも重要なことなのです。」 (オールド・ヴィック劇場ウェブサイトより)
詳細は、オールド・ヴィック劇場のWebサイトをご確認ください。現在、オール・ヴィック劇場のほかにも多くの英国の劇場や美術館などが、オンラインでの作品公開や配信を行っています。その一部を紹介するページもご覧ください。