By ブリティッシュ・カウンシル アーツチーム

2020年 10月 30日 17:00

英国では10月は「ブラック・ヒストリー・マンス」。黒人の功績や歴史、文化に焦点をあてた数多くのイベントなどが開催されます。英国に本部を置くブリティッシュ・カウンシルのアーツ部門も、ブラック・ヒストリー・マンスを祝して、各分野で今注目する英国の黒人アーティストやアート団体をオンラインで紹介。ここではその一部を掲載します。

パフォーミング・アーツ

パフォーミング・アーツ・チームは、振付、演劇、オーディエンス・ディベロップメントに携わる英国の黒人アーティストの作品を紹介しています。なかでも注目すべきは、パフォーマーであり、作家であり、演出家でもあるトラビス・アラバンサです。

トラビス・アラバンサ http://travisalabanza.co.uk/

パフォーマー、作家、演出家。トランスジェンダーのアーティストとして、今日の英国で最も発信力がある一人でもある。作品はテートやバービカンで公開され、初の詩集『Before I Step Outside [You Love Me]』は世界の19カ国以上の人に読まれている。

ブリティッシュ・カウンシルのエディンバラ・ショーケースでも紹介された舞台『BURGERZ』では、トラウマとなった個人的な体験を、他人や空間に対して勝手な判断をし、先入観や思い込みを生み出す人間の行動を問う、多層的なパフォーマンスに変えている。また、英国内に限らず世界の国々でトランスジェンダーの人の安全やトランスジェンダーの人のための空間について対話がされる場を作っている。

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建築・デザイン・ファッション

建築・デザイン・ファッション・チームは、最近のプロジェクトで協働した2名のアーティストを紹介しています。

インカ・イロリ https://yinkailori.com/

分野横断で活動するアーティスト。作品の多くは公共空間に設置され、コミュニティの一員として私たちが共有空間をどのように利用するか、そこに対してどのような反応を示すのかに焦点を当てている。近年の作品には、フランスのリール近郊のスケートパーク「Colorama」、ロンドンのジャック・アーツとコラボレーションした大規模な壁画シリーズ「Happy Street」、ダルウィッチ・ピクチャー・ギャラリーのパビリオン「Colour Palace」などがある。

ジャデイ・フォード https://www.jahdayfordglass.co.uk/

2017年にマンチェスター・スクール・オブ・アートを卒業し、今後が期待される若手デザイナー。伝統的なガラス吹きの技術と現代のデジタルデザインの技術を融合した作品を制作している。伝統技術と最新テクノロジーの間にバランスを見つけ、デジタルデザインが持つ特徴に物理的な形を与える。ブリティッシュ・カウンシルが世界20カ国以上で展開するCrafting Futuresプログラムの「Why I Make」キャンペーン(2020)に参加。

音楽

音楽チームは、英国ヒップホップを牽引するルーツ・マヌーヴァから、2019年に登場した匿名のアーティストコレクティブSalutまで、多様なアーティストの音楽を紹介しています。

Cooly G

革新的なサウンドで知られるCooly Gの音楽は、複雑なリズム、未来の風景を描くような音、そして豊かな温か味をもたらす彼女自身の声が特徴。R'n'B、テクノ、グライム、アシッドハウスの影響を受ける彼女のサウンドはレーベルHyperdubに自然と馴染み、DJとしての確固たる評価も築いている。 

更に読む:ブリティッシュ・カウンシル音楽チームのWebページ(英語)

フィルム

フィルム・チームのブログでは、黒人監督、黒人俳優による作品、黒人の歴史や視点を主題にした映画をより多くの観客に届けるために活動する数百の団体の中から、バウンス・シネマ含め、いくつかの団体を紹介しています。

バウンス・シネマ https://www.bouncecinema.com/

上映会、トーク、ワークショップなどのプログラムを通じて、何千人もの人に映画の楽しみを届けている団体。活動時間やリソースの一部を、才能ある新人の支援に再投資していることも高く評価されている。

更に読む:フィルム・チームのWebページ(英語)

文学

毎月、Webでスタッフが薦める読書リストを公開している文学チーム。10月は詩からロマンス、デビュー作から受賞歴のあるベストセラーまで、英国の黒人作家の作品を紹介しています。

レイチェル・ロング『My Darling from the Lions

有色人種の女性詩人のコレクティブ、Octavia Poetry Collectiveの創設者、レイチェル・ロングのデビュー作。

推薦者のコメント:

「ロングの詩は残忍です。視覚的イメージや文章から始まると、次第にそれは分解されて行き、最後は顔面を殴りつけられたかのようなインパクトを感じます。本作に含まれる詩も、どれもが驚きに溢れ、読者は常にハラハラさせられますが、詩人の声は常にはっきりと聞こえてきます。 それは親密さもありながら、一定の距離間が保たれた関係性のよう。まるで彼女の家に招待され、夕食をとっている時に、別々の部屋から互いに怒鳴りあっている彼女の両親の会話が聞こえるような感覚。読み終えると、まるで脳みそを丸洗いされたかのように感じると思います。是非お勧めします!」

更に読む:ブリティッシュ・カウンシル文学部門のWebページ(英語)

美術

美術チームは、2022年4月から11月にかけて開催される第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の英国館アーティストに選ばれた、ソニア・ボイスにスポットライトをあてています。

ソニア・ボイス

1980年代初頭に急成長を遂げた英国の黒人アートシーンの主要人物として注目を集めたボイスは、パフォーマンス、ドローイング、版画、写真、オーディオ・ビジュアルの要素を用いた、革新的で実験的な製作過程で知られる。その作品は英国における人種、階級、ジェンダーについての深い個人的な考察を特徴としている。2016年にロイヤル・アカデミアンに選出され、2019年には芸術への貢献で大英帝国勲章将校(OBE)を授与されている。

更に読む:ブリティッシュ・カウンシル美術チームのWebページ(英語)

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