すべての学習者の可能性を最大限に伸ばすため、持続的な開発目標SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、非常に重要なテーマです。ユネスコは教育現場におけるジェンダー平等に向けて様々な視点からの改革を推奨しており、その中には教科書も含まれています。教科書は知識を伝達するだけでなく、社会規範やジェンダーに関する価値観を提示します。そのため、教科書の中で伝えられているメッセージやイメージから、生徒は性別による様々な期待や思い込みに触れる可能性があります。
ユネスコが2020年に刊行したGlobal Education Monitoring Reportによると、未だ多くの国で、登場人物の数や役割に偏りがあることが報告されました。今後ジェンダー平等を実現する上で、教科書の中でのジェンダー表現が、公正で公平なものかどうかを確認することは非常に重要なことです。
このたび、ブリティッシュ・カウンシルは、英国で英語教育コンサルティングを行うTransformELTに委託し、日本の中学校でよく使われている英語教科書4冊の登場人物の役割や描かれ方等について、ジェンダーとエスニシティの点から分析しました。ジェンダーとエスニシティという複数のアイデンティティの重なりに注目する「インターセクショナリティ(交差性)」の視点を取り入れることで、男女間の偏りだけでなく、 女性同士の描かれ方も日本人と外国人では異なることなどが見えてきました。
英文の調査報告書はこちら
本調査に関するウェビナー記録動画、本調査の解説動画、先生方のためのツールキットの情報を以下にご紹介します。
●【ウェビナー記録動画】「中学校英語教科書の中に見るジェンダー (2023年 03月 28日)」
中学校の教科書分析調査についてのウェビナーを開催しました。最初に、教科書の中に見るジェンダー・バイアスの分析結果の概要を、神戸市外国語大学名誉教授立木ドナ氏からご報告しました。またTransformELTの研究者兼コンサルタントのジニー・ローランズ氏からは、ジェンダーの課題に対する認識を高めるための指導者向けツールをご紹介しました。
記録動画は、こちらよりご覧ください。
●【調査結果の説明動画(日本語)】「日本の英語教科書に見るジェンダーロール(性役割):『交差性』の視点から」
教科書の分析調査の結果と今後の取り組みについて、日本語の動画にまとめました。全体で、4つのテーマで構成されています。
詳細・動画は、こちらよりご覧ください。
●英語教師のためのジェンダー平等を授業に取り入れるためのヒント集 ACCESS to gender balance A toolkit for teachers
英語教科書・教材におけるジェンダー表現にご関心があり、ジェンダー・バイアスに対する問題意識の向上をお考え の先生方のためのツールキットを作成しました。基本的な考え方をご説明し、英語教科書・教材において、ジェンダー・バイアスが現れる可能性のある事例をご紹介します。また、教材例の分析を通して、どう授業で扱うかについてのヒントをご紹介しています。ぜひお役立てください。こちらよりご覧になれます。
英語版はこちらよりご覧ください。