現在の航空宇宙産業との連携の形とは―ベストプラクティスを生み出す領域と、その業績を活用するには?
チャレンジ
産業界のパートナーとの連携にはさまざまな形態があり、多くの形のコラボレーションが可能となる。連携を成功させるためには、航空宇宙産業においてカギとなる技術を見極め、共通の目標に向けて産業界のパートナーと協働することが条件となるだろう。
英国では、国内のコラボレーションのモデルやベストプラクティスは広く共有されているが、海外での優れたモデルや実践は大きく異なりうる。そこで、本ワークショップでは、日英の経験を共有することを目的とする。
目的
本ワークショップの目的は、教員、研究者およびリサーチ・マネージャーを一堂に集め、以下のためのプラットフォームを提供することである。
- RENKEIメンバー大学間、とりわけ本ワークショップの主催者であるブリストル大学、名古屋大学およびサウサンプトン大学間のリサーチ・マネージャーと教員を結びつける。
- 2014年のRENKEI日英航空宇宙工学共同ワークショップで培われた連携関係を発展させる。
- 今後のプロジェクト・コラボレーションおよびビジネス志向の共同学術研究を推進させる。
- 航空宇宙産業の製造業者のニーズに応える学術研究を推進する。
- 日英航空宇宙産業とのコラボレーションのありかたをよりよく理解するためのスキル開発を支援し、ベストプラクティスの例、アプローチのしかた、さらにコラボレーション活動を支えるための資金調達の方法を理解する。
- 英国航空宇宙産業における主要な最先端技術および、各主催大学(名古屋、ブリストル、およびサウサンプトン)における関連研究活動の概要を示す。
プログラムの概要
各々の専門領域に沿う形で、サウサンプトン大学は航空力学と航空騒音に焦点をあててプログラムを構成し、ブリストル大学は構造と複合材料をテーマとしてプログラムを実施した。
アクティビティの主要テーマは以下の通り。
- 航空宇宙分野における英国での産業連携の文脈および枠組みの概要
- 最先端の技術とエンゲージメント・モデル
参加者のために、サウサンプトン大学テクノロジー・センターやブリストル・ナショナル・コンポジット・センター、およびアグスタウェストランドなどの近隣の関連製造企業への訪問が企画された。
また、サウサンプトン大学・ブリストル大学内外のゲスト・スピーカーを招き、ワークショップに関連したテーマのプレゼンテーションを行った。各プレゼンテーションは予備知識を提供するだけでなく、議論を喚起し、今後のコラボレーションの可能性を広げることを目的とし、英国政府ビジネス・イノベーション・技能省(当時)、大和日英基金、グレイトブリテン・ササカワ財団や Aerospace Technology Instituteの担当者が実施した。
ワークショップにはJETRO(日本貿易振興機構)、すでに日本で活動する英国の航空宇宙企業( Nasmyth Metallics、Silcoms Limited)、2014年の名古屋大学での日英航空宇宙工学共同ワークショップに参加したサウサンプトン大学の若手研究者やサウサンプトン大学ジャパン・ソサエティ代表の参加も得た。
プログラムの成果
ワークショップの成果として、産業界とのコラボレーションに関連した意見交換を行うことができ、また参加メンバー大学間に、より密な協働関係を構築することができた。
当プログラムは、主催大学(名古屋、サウサンプトンおよびブリストル)および他の参加メンバーの専門研究知識に関するより深い知見を得ることを可能にした。参加者はサウサンプトン大学の航空宇宙工学や計算工学分野の教員や航空力学・飛行力学の研究グループなどと交流した。当該教員や研究グループのなかには、すでに日本との連携に向けて積極的に活動しているものもあった。
参加者はサウサンプトン大学とブリストル大学による最先端の技術と研究に特権的に触れることができたほか、エアバスやロールスロイスといった企業とのパートナーシップに関する現状を把握することができた。
さらに、日本とのパートナーシップを支援する英国の諸団体との連携が強化されたが、この活動に資金を提供できる組織(大和日英基金)との関係構築は、今後特に有用となるであろう。
プログラムを通して、対話と議論、という双方向のコミュニケーションに主眼が置かれ、参加者は産業界との連携関係の構築に強い関心を持ち、学際的なコラボレーションに熱意を持って取り組んだ。
今後の重点連携分野と活動について議論が持たれ、以下の分野でのコラボレーションが可能であるとの結論に至った。
- コンピューターコードの共有
- パンタグラフ
- 宇宙マイクロ波送信
リード大学
- サウサンプトン大学
- ブリストル大学
- 名古屋大学