種をまき、育て、収穫を分かち合う、栽培実験プログラム
『Dandelion』は、英国・スコットランドの政府機関『EventScotland』の委託を受け、スコットランド全土で展開される大規模な栽培実験プログラムです。2022年4月から9月までの6ヵ月間にわたり、家庭での自家栽培をはじめ、街角につくられた庭園や野外フェスティバル、収穫祭などへの参加を通じて、作物を育て、収穫する喜びを共有します。
このプログラムのコンセプトは、“種をまき、育て、収穫を分かち合う”というシンプルなもの。アーティストやミュージシャン、パフォーマー、科学者、技術者らが集結し、次世代を担うクリエイターとともに、食物に限らず、新たなアイデアや音楽、科学的な知識、コミュニティなど、さまざまなものを“育て”ていきます。そして、地球や食物とのつながりを振り返り、食糧問題や気候変動、サステナビリティについて、ともに考えます。
この取り組みの背景には、若者に力を与え、未来のアーティストやクリエイター、科学者らを刺激して、“収穫祭”を重要な祭典として再び位置付けたいという思いがあります。9月の収穫期には、調理コンテストや音楽ライブなどを行う収穫イベントがスコットランド中で開催され、プログラムはクライマックスを迎えます。
21世紀における“収穫”の意味を再定義する
Dandelionでは、多彩な無料イベントを通して、21世紀における“Harvest（収穫）”の意味を改めて定義します。たとえば『Unexpected Gardens』もそうしたイベントのひとつです。空き地や倉庫、駐車場、島しょ部などの“思いがけない場所”につくられた庭園での栽培に挑むと同時に、アーティストらが新たな音楽づくりに取り組みます。運河を移動する水上庭園も登場します。
また、キューブ型のミニチュア農園にスピーカーを組み込んだ『Cube of Perpetual Light』は、Dandelionを象徴するアート作品です。Unexpected Gardensをはじめとするスコットランドの各地にキューブを設置し、キューブ内にあるLEDライトの下で苗を育てながら、植物が人間と同じように音楽に反応し、成長するのかを探ります。
『Schools Growing Initiative』では、約500校の学校が栽培実験に挑戦。100以上のCube of Perpetual Lightをスコットランド中の学校に配布し、生徒たちは光や湿度などの条件をコントロールしながら、植物の成長について体験的に学びます。そして、9月9日にはそれぞれの学校の運動場で音楽ライブやアートなどさまざまなアクティビティが催され、生徒たちが育てた作物を披露する予定です。このイベントは、環境問題に取り組む子どもや若者、教育者のための教育活動を行う慈善団体『Keep Scotland Beautiful』とのパートナーシップのもとで実施されます。
6月と9月に、スコットランドのグラスゴーとインヴァネスで行われる大規模な野外イベント『Dandelion Festival』では、3日間にわたって音楽ライブやトークショー、ワークショップなどの多彩なアクティビティが実施されます。会場では、ステージセットの一部としてCube of Perpetual Lightが組み込まれる予定です。
Dandelionのイベントやプログラムは、都市部から島しょ部に至るまで、スコットランド全土で行われます。現地で参加できない場合でも、動画やデジタルアクティビティを通じて、オンラインでDandelionの世界を体験できるよう設計されています。
日本からプログラムを楽しむ方法
日本からも、オンラインでプログラムを楽しめる方法をご紹介します。
- Dandelion プロジェクトサイト内『Heisgeir - Film』（英語）
Outer Hebrides諸島のHeisgeirから英国本土に渡り、スコットランドを自転車で旅するCube of Perpetual Lightの動画をご覧いただけます。 - Dandelion プロジェクトサイト内『Growing』（英語）
Dandelionの開催期間中、栽培に関する記事やビデオ、フォトエッセイなどを随時更新しています。