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British Council, Photo: Kenichi Aikawa

ブリティッシュ・カウンシルは、英国において障害のある人々の文化へのアクセスの改善に長年取り組んできた芸術団体シェイプ・アーツを迎え、2016年から自治体関係者や文化芸術関係者を対象に意識改革のトレーニングや、施設のアクセシビリティを検証するアクセスオーディットを開催しています。

トレーニングでは「多様性」や、障害を社会が作り出すものとして捉える「ソーシャル・モデル」の考え方に加えて、あらゆる人が参加可能な事業の企画・運営の方法などについてワークショップ形式で学びます。アクセスオーディットでは、障害のある利用者の視点で、施設の物理的なバリアや改善の可能性についてアドバイスを行っています。

トレーニングワークショップ「障害の社会モデルと文化芸術機関のアクセシビリティ」開催実績

日時:2016年11月19日(土)
参加者:日本財団職員およびDIVERSITY IN THE ARTS関係者など約20名

日時:2016年11月16日(水)、17日(木)
参加者:KAAT神奈川芸術劇場スタッフおよび他機関のアートマネージャーなど合計約30名

日時:2016年11月15日(火)
参加者:川崎市職員、市内の文化団体職員など約20名

日時:2016年3月24日(木)
参加者:日本各地の劇場プロデューサーや美術館の学芸員など約20名

日時:2016年3月22日(火)、23日(水)
参加者:KAAT神奈川芸術劇場スタッフおよび神奈川県内の公立文化ホール職員など合計約40名

アクセスオーディット実施実績(五十音順)

KAAT神奈川芸術劇場(横浜市)
川崎市民ミュージアム(川崎市)
スパイラル(港区)
とどろきアリーナ(川崎市)
等々力陸上競技場(川崎市)

これまでの参加者からのコメント

  • 他社と対話しながら障害について考えることができてとても良い時間だった。
  • 障害の社会モデルという考え方に目からうろこでした。「~できない」ではなくどうすれば「できる」のかともに考え実践していきたい。
  • 劇場の方、美術館の方、クリエイターの方、様々な視点から交流できたのが良かった。
  • 目に見える障害と、周りから見て気が付きにくい障害もあるので、そのことを意識する大切さを改めて感じた。
  • トレーニングを通じて「障害」が「社会の側で作っているもの」という考え方や「多様性」を「資産」としてとらえる考え方により、自分の中で前向きな気持ちになれた。
  • これまでに耳にしたことのある話もあったが、自分自身に置き換えたり、自身の職場に置きかえて考えることで、問題点や気付きが明確になった。
  • 施設を管理する立場だと「手すりがついている」「多目的トイレを設置している」「スロープがある」という状態で「障害者の方にも配慮している」と満足してしまうが、手すりにしても材質や形によって、実際は使いにくいということが分かり有意義な経験ができた。
  • すべりにくい床や目に優しい照明の使用については、障害者の方だけでなく今後想定される高齢化社会においても意味があると思った。

講師プロフィール

ゾーイ・パーティントン(シェイプ・アーツ トレーナー)

アクセス・トレーナー、オーディター、アーティストなどさまざまな立場でシェイプ・アーツの活動に携わっている。美術館、劇場、公共スペースなどのアクセシビリティ向上に向け、建築家、デザイナー、芸術文化機関や障害のあるアーティストを対象にしたプログラムを多く手掛けている。2012年のロンドン五輪の文化プログラムにおいては、視覚芸術のクリエイティブな音声描写“Creative Audio Description”に革新をもたらし、現在もこの活動に取り組んでいる。著書「Shifting Perspectives」を出版しており、デジタル・インスタレーション作品「Sound Canvas」は、テクノロジーによって文化へのアクセシビリティ向上に貢献したプロジェクトに授与されるJODI賞を受賞している。

バーバラ・リシキ(シェイプ・アーツ トレーナー)

トレーナー、コンサルタント。とくに美術や舞台芸術の分野を専門とする。2012年ロンドン・オリンピック・パラリンピック競技大会のセレモニーにおいてアクセス・マネジャーを務め、大会運営のアクセシビリティ向上に貢献。現在は自身の会社Entertrainers LTDと、ディレクターを務めるEquals Trainingで幅広いトレーニングの提供やプロジェクトの運営に携わっている。スタンドアップ・コメディアンとしても活躍し、障害のある詩人、ダンサー、ミュージシャン、コメディアンらが構成するツーリング・カンパニー、The Tragic but Brave Showの創設者のひとりでもある。

シェイプ・アーツについて 

障害のある人々の文化へのアクセスの向上に取り組んでいる英国の芸術団体で、代表含めそのメンバーとしても障害のある人が多く参加している。障害のあるアーティストの活動機会の促進をめざすとともに、芸術文化機関があらゆる人々に対してより開かれたものになるための研修プログラムや、参加型のアートプログラムの運営などを行っている。受容性(inclusion)、平等性(equality)およびアクセス(access)の分野で、30年を超える革新的な取り組みを通じ、この分野におけるリーダーとして評価を受けている。これまでにロイヤル・オペラハウス、大英博物館、アーツカウンシル・イングランド、大英図書館、ロンドン・オリンピック・パラリンピック組織委員会文化チームなど、英国の主要な芸術文化機関に対して研修を提供。ロンドン五輪の経験をもとに、2012年以降、ブリティッシュ・カウンシルと共に、ブラジルの主要な劇場や美術館のスタッフ向けたトレーニングやアクセシビリティの向上に向けてプログラムを展開している。シェイプ・アーツでは、障害のある、プロフェッショナルな人材がトレーナーとして活躍している。

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