式年遷宮を起点に、自然との共存を模索する映像作品『Wood Rots Like We Do』

英国を拠点とするアーティスト、マシュー・ロジアは、ブリティッシュ・カウンシルと三重県伊勢市の協働で実施した『伊勢市アーティスト・イン・レジデンス2019』の一環で2019年10月に伊勢市を訪れました。

『Wood Rots Like We Do』の概要と見どころ

マシュー・ロジアが制作した『Wood Rots Like We Do(私たちのように木も朽ちて)』は、伊勢神宮の式年遷宮の儀式にインスピレーションを得た映像作品です。伊勢神宮の神宮主事や日本の林業従事者、環境アクティビストなどさまざまな人の視点を通じて、日本人と森林の関係がどのように変化してきたのかを探り、人と森のあり方や持続可能性を検証しています。

伊勢神宮が1300年前から受け継いできた再生のサイクルをモデルに、日本だけでなく世界中で、新たな世代が森林をどのように再生し、森林の社会的役割をどのように見直していくべきかを探る本作品。壮大なスケールのものからローカルなものまで合わせて14の神社が映像のベースとなっており、全20章の短編で構成されています。 

 「この作品では自然との共存のあり方を模索しています。生態系が相互に恩恵を受ける関係をどう築くか。自然を守り、再生するという長期的なコミットメントを、文化を通じてどう定着させるか。今後どのようにして自然との新たな共存関係をつくり出せるのか。それを考えるきっかけになればうれしいです」
(マシュー・ロジア)

日本から作品を楽しむ方法 

『Wood Rots Like We Do(私たちのように木も朽ちて)』は20の短編映像で構成されます。2023年3月30日(木)の第一章公開を皮切りに、毎週木曜日に新たな章が20週連続でオンライン公開される予定です。作品は本ページ、および以下のアーティストのVimeoチャンネル、インスタグラム(ページ下にリンク)でお楽しみいただけます。日本語字幕を「オン」にしてご覧ください。

現在は第一章~第五章をお楽しみいただけます。第六章は2023年5月4日に公開予定です。

作品クレジット

 

作:マシュー・ロジア
撮影:ウィル・ヘイネン
主催:伊勢市
協力: ブリティッシュ・カウンシル
現地コーディネートサポート: 合同会社Living Together(根上陽子、佐藤結子、勝治真美、金川あかね)
助成: 大和日英基金、アーツ・カウンシル・イングランド
東京/長野コーディネートサポート:平山みな美
日本語書き起こし:平山みな美
グラフィックデザイン:平山みな美
サウンド・デザイン&作曲: グレッグ・ホワイト
通訳:山口恵子、中山慶、ジェイミー・ハンフリーズ、秋元七生

 

マシュー・ロジアについて

マシュー・ロジアは、ロンドンを拠点に活動するアーティストです。主に社会・建築・生態系に埋め込まれた個人の『記憶』や公共の『歴史』をテーマとし、テクノロジーに映像や音を組み合わせた公共空間における没入型のインスタレーション作品を手掛けています。

伊勢市アーティスト・イン・レジデンスについて

2019年10月、三重県伊勢市とブリティッシュ・カウンシルが協働で実施した『伊勢市アーティスト・イン・レジデンス』では、英国から6組のアーティストを招へいしました。約2週間にわたって伊勢神宮や周辺の名所を訪れ、地域の人々や表現者と交流するなかで、芸術活動につながるさまざまなインスピレーションを得ることができました。

それから3年を経た2023年1月には、6組のうちマシュー・ロジア、ニコル・ビビアン・ワトソン、ジェーン・アンド・ルイーズ・ウィルソンの3組4名の再来日が実現。再び伊勢の地を訪れてインタビューや撮影、ワークショップなどを行い、それぞれのテーマに沿った作品制作に挑みました。

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