室内、画面左に向かって前後一列に並んで立つ5人の大人が前の人の身体の動きを見て同じように右手を頭上に挙げる振り付けで踊っている
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Ise City, British Council

伊勢市アーティスト・イン・レジデンスについて

2019年10月、三重県伊勢市とブリティッシュ・カウンシルは、英国から6組7名のアーティストを招へいし、『伊勢市アーティスト・イン・レジデンス』を実施しました。アーティストらは、約2週間にわたる滞在中、伊勢神宮をはじめとする名所を訪れ、伊勢に根付く歴史や自然観への理解を深めました。

それから3年以上を経た2023年1月、具体的な作品制作に臨むために、マシュー・ロジア、ニコル・ビビアン・ワトソン、ジェーン・アンド・ルイーズ・ウィルソンの3組4名が再び伊勢を訪れました。国内外で注目を集める3組は、改めて地域の人々と交流するなかで、多くのインスピレーションを得ました。

そのうちの一人であるニコル・ビビアン・ワトソンに、伊勢への想いと作品制作への影響について話を聞きました(2023年2月)。

ニコル・ビビアン・ワトソンについて

ニコル・ビビアン・ワトソンは、サーフェス・エリア・ダンス・シアターの芸術監督であり、さまざまな社会課題をパフォーマンスで表現するアーティストです。英国、日本、ギリシャ、北米などを舞台に、耳に障害のある人とない人のコミュニティのコラボレーションに取り組んでいます。日本への造詣は深く、2021年には、仏教と「将軍」の図像学に関する研究でロンドン大学アジア・アフリカ学院(SOAS)にて修士号を取得しました。

伊勢が与えたインスピレーションと作品制作への影響

――2019年の訪問からどのような影響を受けましたか? 

2019年の訪問では、伊勢音頭保存会(豊鶴連)や三重県のろう者コミュニティを紹介していただきました。そこで伊勢音頭の踊りを習いましたが、このときの経験がその後の振り付けに大きな影響を与えたと思います。例えば、2020年から2021年にかけて私が英国ロンドンのバービカン・センターで披露した振り付けがそうです。

――3年ぶりに伊勢を再訪して、どのような感想を持ちましたか?

3年ぶりに訪れた伊勢は、新しい体験であると同時に、親しみを感じるものでした。今回は、サウンドアーティストとして活躍するトム・ホワイト氏とのコラボレーションを実施したのですが、2019年の訪問時には考えもしなかったようなリサーチになったと思います。伊勢の自然が奏でる、非日常的な音に耳を傾けることができました。

――今回の作品について教えてください。

身体で音を感じるウェアラブルデバイス『SubPac』を用いて、聴覚に障害のある人たちとのワークショップを行いました。そのワークショップだけでなく、インタビューや伊勢の音風景、伊勢音頭からインスピレーションを得て、映像と音楽を構成しています。作品のタイトルは『Shore, Sea, and Land - Lines(海岸、海と海岸線)』です。音の感覚、ろう文化、自然、遺産、新しい技術と古い文化の出会い、アクセシビリティなどをキーワードに制作しています。

『Shore, Sea, and Land – Lines』について

『Shore, Sea, and Land - Lines(海岸、海と海岸線)』は2023年3月31日にオンラインで公開される予定です。公開され次第、詳細についてご紹介します。楽しみにお待ちください。

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